灯は友達で…恋人じゃないんだ。
二時間限定の仮の恋人。
それでいい。
終われば僕らは友達としてお別れする。
それで、いい。
それで満足するから…だから。
今はまだ、恋人ごっこを楽しんでいたい。
それが僕のワガママな、素直な今の気持ちだった。
注文して届いたパフェをスプーンで食べさせ合いながら会話を弾ませる。
灯が「あっ…」と何かに気づいて声を発した。
「千冬、口元にクリームついてるよ」
「えっ、ウソ!…取れた?」
「逆だよ…ほら」
灯の伸ばした手。
その固い指先が僕の口元を拭った。
「ありが__」
言いかけたお礼は、すくい取った指先のクリームを舐め取る灯の姿を見て諦めた。
ちらりと見える赤い舌先。
それを見て、指を舐められた時を思い出し、体が固まる。
灯が僕を見つめた。
「ん?どうかした?」
「あ、いや…その」
言いよどむ僕を見て、意地悪く笑む。
「…指じゃなくて、舐めて取ってほしかった?」
首を傾げながら囁くように呟かれた一言は、淡い想いを自覚した僕には大ダメージだった。
これだから無自覚って怖い。
何でサラッとこういう事できるのかなぁ、灯は!
“恋人”としてのポテンシャル高すぎる…。
「…灯ってさ、本当に今まで彼氏に恋人っぽい事できなかったの?」
僕の問いかけに、灯は頷く。

