「間接キスも恋人っぽい…でしょ?」
ああ、全身が熱くて仕方ない。
完全に灯の手のひらの上だ。
勝ち誇ったような笑みを浮かべる彼に、僕はぷくりと頬を膨らました。
何か…すごい悔しい!
今の所、見た目も性格も行動力も負けている。
僕も少しくらい灯に勝ちたい!
良い所を見せたい!
僕はテーブルに置かれていたパネルを手に取った。
その画面に視線を落としながら、ずらりと並んだ曲目を選ぶ。
「へぇ、色んな曲があるんだ」
「わっ…!?」
横から灯がパネルをのぞき込む。
触れた肩から体温を感じて大袈裟にのけ反ってしまった。
それを見て灯がクスッと息をもらす。
「千冬って、やっぱり可愛いね」
ほら、また。
柔らかく瞳を細めて、そんな事を言う。
イケメンって本当、何言っても様になるよな!
カッコよすぎていっそ腹が立つ!
僕はパネルから歌唱する曲を選び、勢いよく指でタップした。
そしてマイクを持ち、灯に向かってこう言い放つ。
「採点バトルで勝負しよう!」
「ん?」
「交互に歌を歌って、採点で上だった方の勝ち!」
「うん、いいよ。せっかくカラオケに来たんだし、やろうか」
個室に鳴り渡る切ないメロディー。
それは少し昔に流行った失恋ソング。
バラード特有の長めの歌で加点を増やす作戦だ。
僕はマイクを持ち、歌い出した。

