僕らフラれた受け同士


舐められて濡れた指先に感じる冷房の風が、やけに冷たくて。

さっきの生々しい舌の感触を鮮明に思い出してしまう。

なんて事してくれたんだ、灯のやつ。

おかげでもう、お前の顔が見られない。


「あ…あー、僕もポテト食べよーっと…!」


カタカタとロボットのように固い動きでポテトへと手を伸ばす。

__“こういう事も…恋人とした?”

灯の言葉がパニック状態の脳内で再生された。

でも、その質問には答える余裕なんてない。

ポテトをつまみ、口へ運ぶ。

心臓が鼓動を速めて動いていた。

もうポテトの味すら分からない。

だけど何かに集中していないと、隣に座る灯を意識してしまう。

これはただの“恋人ごっこ”なのに。

黙々とカゴの中に手を入れてポテトを食べ進める。

ふとポテトをくわえた時、唇に人差し指が触れた。

…これ、間接キスになるんじゃ__。


「千冬、大丈夫?…顔が赤いようだけど?」


「っ!?いや別に__ゴホッ、ゲホッ!!」


急に話しかけられた事に驚き、咀嚼したポテトが器官に入った。

灯が僕の背中をポンポンと叩きながらコップを差し出す。


「ほら、これでも飲んで落ち着きなって」


誰のせいだと思ってんだよ!

僕は涙目になりながら飲み物が入ったコップを受け取り一気に飲み干した。

直後に気づく。

これ…灯のウーロン茶じゃん…!

隣を見るとすっかり機嫌を良くした様子の灯が、楽しそうに口角を上げて僕を見つめていた。