こちらの恥ずかしがる反応を期待しているのか、灯はどこか意地悪な笑みを浮かべている。
それを見て僕は…平然とそのポテトを口にくわえた。
唇が僅かに灯の指先に触れる。
「んー、ありがと」
ポテトを食べながら礼を言う。
灯は目を丸くしてその光景を見つめていた。
「え…何?何で慣れてるの?」
そのもっともな問いかけに僕は首を傾げながら答えた。
「何でって…別れた恋人がこういうの進んでやるタイプだったからかな?」
別れた恋人。
その言葉を聞いた瞬間、灯が目を細めて視線を落とした。
そのまま「ふーん…」とつまらなさそうに小さく呟き、その場に気まずい雰囲気が流れる。
あれ…もしかしてこの話題、地雷だった?
僕は自分の失言に気づく。
そうだよな。
灯は恋人とこういうのが上手くできなくて、それがきっかけでギクシャクして別れたんだよね?
そんな相手に“恋人と食べさせ合いっことかやってました”なんて嫌味に近い惚気話…聞きたくないよな…!
せっかくいい感じに恋人ごっこできてたのに、僕は大バカ者だ。
「あっ…ほらポテト!冷えたら美味しくないよね!食べようか!」
慌てて空気を変えようとポテトに手を伸ばしてつまむ。
その腕を、灯が優しく掴んだ。

