怒声に驚き、鼻をすすりながら隣の教室をのぞきみる。
そこには、二人の男子生徒がいた。
一人は背が高く、短髪で日焼けした男子。
もう一人は背の低い、中性的な顔をした可愛い雰囲気の男子。
どうやら背が高い男子生徒は何かを怒っているようで、握りしめた拳を小刻みに振るわせていた。
一触即発のヤバそうな空気。
そんな中、背の低い方の男子生徒が口を開く。
「だから、どこを変えればいいかって聞いてるだろう?」
「お前に変わってほしいワケじゃなくて…俺が知りたいのはっ…灯が俺を本当に好きなのかどうかって事なんだよ!」
………。
ん?
“俺を本当に好きなのかどうか”…?
この二人、どういう関係…?
僕はドアの後ろに身を隠して聞き耳を立てる。
「そうじゃなかったら、付き合わないだろう普通」
灯と呼ばれた男子生徒が、冷静に答える。
対する背の高い男子は苛立ちを隠せないのか、髪をぐしゃぐしゃと掻く音が聞こえた。
「そういう答えが欲しいんじゃなくて!…俺は…」
弱々しく響く声には諦めの感情が含まれている。
しばらくの沈黙の後、その声は辛そうに一つの答えを口にした。
「灯…俺ら、分かれよう」
__あんたらも別れるんかい。
興味本位で覗いた両者の結末に、僕は両手で顔をおおった。
なんて事だ、今日この導希高校で二組の恋人が破局するなんて。

