パチンッと両手で頬を叩く。
何考えてるんだよ、僕は…!
「…飲み物、取ってこなきゃ」
これから始まる“恋人ごっこ”へと気合いを入れ直し、僕はドリンクバーへ向かった。
***
「お待たせ、灯はウーロン茶でよかった?」
「うん、ありがとう」
プラスチックのコップに淹れてきたウーロン茶を手渡す。
自分用のコーラを一口飲む。
そういえばまだ軽食の注文もしてないな…。
僕は何か頼もうと、壁に取り付けられたインターホンに手を伸ばした。
「あ、待って千冬、注文ならさっきしておいたよ」
「えっ…ホント?」
「さっきポテト頼もうとしてたでしょ?逆にそれしか注文してないんだけど…追加で何か頼む?」
「ううん、助かる!ありがと」
灯ってば気が利くな。
こういう気配り上手な所もポイント高くて羨ましい。
僕の元恋人なら、絶対そんな事してくれてなかった。
そんな事を思いながら、再び灯の隣のソファに座る。
手に持っていたコップをテーブルに置いた時、ちょうど頼んだ品が運ばれてきた。
ペーパーを敷いたカゴに入った、長めにスライスされたポテト。
揚げ物の良い匂いが部屋に満ちていく。
湯気を立てるポテトの横には、丸くて小さな容器に入ったケチャップが添えられていた。
よし、これで準備は整ったな。
一礼して去って行く店員さんの背中を見届けて、扉が閉まったのを確認。
僕はすかさず作戦を開始する。

