僕らフラれた受け同士


それは五月の終わり頃の事だった。


「ねぇこんにちは~、キミ一年生?」


「はい、そうですけど」


大学内の広いキャンパスに設置されたベンチ。

そこに座っているとチャラそうな男子生徒から声をかけられた。

彼は白い歯を見せながらニカッと笑う。


「今日の夜ってヒマ?今年入学した一年生同士で自己紹介がてら合コンしようって話になったんだけど、キミもどう!?絶対楽しいよ!」


「いえ、僕は――」


断ろうとした途端、僕と男子生徒の間に割って入るように彼が現れた。


「ごめん、この子にはもう彼氏がいるから無理」


「灯!もう、やっと来てくれた!待ってたんだよ?」


「ごめん、講義が長引いちゃって……さ、お昼行こうか」


呆気にとられた様子の男子生徒を置き去りに、灯が僕の腰へと手を回す。

見せつけるような行為に、僕はニヤリと笑う。


「灯ってば、僕が声かけられただけでヤキモチ妬いちゃった?」


「悪い?誰かさんが大学生になっても無防備だから心配なんだよ……悪い虫がつきそうでさ」


「そうなっても灯が助けてくれるでしょ?」


「当たり前、千冬は僕の恋人なんだから当然だね」


肩を寄せてカフェテリアへと向かう僕達の左手薬指には、思い出のペアリングがキラリと光っていた。

あの日。

同じ日にフラれた僕達の出会い。

それから始まったこの関係は……偽物から本物に変わったこの関係は。

もう二度と、壊れる事はない。