瞬間、冷水を浴びせられたかのように頭がサーッと冷えていくのが分かった。
恋人ごっこを、終わりにする。
それはつまり、新しい“誰か”が見つかったという事で……。
その相手は、きっと爽君だ。
やっぱり灯は……爽君からの告白を受け入れたんだろう。
それ以外、考えられない。
点と点が繋がったような苦々しい結末。
……それでも僕は、口角を上げた。
泣くな、僕。
笑え。
頼むから、涙は出てこないで。
灯の幸せを心からお祝いして、送り出すんだ。
決意を固めて、僕はニコッと笑う。
「そっか!分かった、終わりにしよ!いやー、僕も勉強になったよ~これで新しい恋に踏み出せる!」
「千冬……?」
「実はさっき、灯が爽君に告白されてるとこ見ちゃってさ~!いや、やっぱり二人は結ばれる運命っていうか、僕もなんか感動しちゃって――」
――それで、胸がいっぱいになって、それで。
――返事もろくに返せなくて。
――探してくれたのにごめんね、ありがとう。
――それでね、えっと……その。
――おめでとう、灯。
伝えたい事が他にもたくさんあるのに、それ以上口が動いてくれない。
震える唇に流れ込んだしょっぱい味に、ようやく自分が泣いていると気づいて顔を手でおおった。
「――違っ……!これ、は……う、嬉しくて!灯が爽君とまた付き合えて良かったって本当に思っ――」
そう言いかけて、言葉が止まる。
誰でもない、灯から力強く抱き寄せられた体が彼の体温を感じて一気に熱を持つ。
こんな事をされる意味が分からなかった。
だって灯は、爽君と付き合って……。
僕のこんがらがる心を解きほぐすように、灯が答えを口にした。



