「うわ、蒸し暑いな…」
さっきまで涼しい室内にいたからか、外の熱が余計に暑く感じる。
校門をくぐる頃には額からじんわりと汗が滲んでいた。
たまらず制服のネクタイを緩めてシャツのボタンを三つ開ける。
隣を歩く灯も、暑そうに手をパタパタと振って顔に風を送っていた。
目尻の真横を汗が流れていき、僕は呟く。
「なんか今年は去年より暑い気がする…」
「分かる」
「地球温暖化が進んだら僕達、蒸し焼きになるのかな?」
「どうせなら恐竜みたいに凍死がいいな、ボク」
そんな“もしも”の話の流れで、話題は“焼死と凍死ならどっちがマシか”という下らない内容になっていく。
この暑さで脳みそが溶けたのかもしれない。
十字路を右に曲がり、大通りへと続く道を並んで歩く。
最終的に一瞬であの世にいけるなら何でもいいという結論に達した時、ブロック塀の上に動く物を見つけた。
「あ!なぁアレって“幸運の猫”じゃね!?」
「幸運の…猫?」
目を輝かせる僕とは違い、小首を傾げて不思議そうな顔をする灯。
「えっ…まさか知らない?懐かれたら良い恋人に出会えるって噂の猫!」

