ファインダー越しの、

 結局あの後、どこを探しても真崎を見つけることはできなかった。
 仕方なく翌朝、いつもより余裕を持って登校することにした。
 真崎のA組は俺のクラスであるB組の前を突破しないと辿り着けない。廊下に出て彼を待ち構える。
 ――なんで俺がこんなことを。
 その時、視界の端に大きな影が映った。真崎だ。心なしかいつも以上に背中が丸まっている。
「真崎」
 俺の姿を認めると、真崎の顔はサッと青ざめ、次の瞬間、弾かれたように走り出した。だから昨日からなんなんだその瞬発力は。
「お、おい、待て!」
 俺の声が、廊下に響く。周りの奴らが驚いてこちらを見るがかまいやしない。俺は真崎を追いかけた。朝の、人でごった返す廊下をするする器用に逃げていく。登校用のリュックを背負っているはずなのに。すばしっこさに閉口した。慌てて追いかける。廊下を走るな!という声が聞こえた気がしたが、なにもわからない。ひたすらコンクリートの地面を蹴る。気付けばじゃりじゃりと土埃の舞う裏庭に出ていた。
「俺は話がしたいだけなんだ!」
 理不尽な目に遭っているのは俺のはずなのに、これでは俺がいじめているみたいだ。
 ぜぇぜぇと息を切らした真崎は観念したように走るのをやめた。どうやら短距離型らしい。
「……真崎、俺の勘違いだったら申し訳ない。昨日、俺の写真、撮った?」
 上下に体を揺らす真崎から前腕が見えない。カメラを大事に抱えているようだ。
「……ご、ごめんなさい」
 もごもごとした謝罪は肯定と受け取っていいだろうか。
「勝手に撮っちゃいけないってわかってるんだけど、由良が」
 あ、俺の名前知ってるのか。
「すごく、綺麗で」
 ゆっくりと振り向いた真崎の紅潮した目には涙が浮かんでいた。もっさりとした前髪の隙間から瞳が見える。まっすぐ相対したその粒はキラキラと反射をしていた。白目の透明さが突き抜けて青色に見えるくらいだった。きれいだな、と思った。