雪谷くんたちに折り紙をあげてから、私は彼らと親しくなった。
一緒に遊びに行くほどじゃないけど、校内で顔を合わせれば挨拶はするし、雑談をすることもある。
まさか私が、目立つ男子グループと仲良くなる日が来るなんて。人生何があるか、わからないものだね。
そして、その恩恵を最大限に受けているのは綾奈だった。
「加藤くぅん、おはよう」
「おはよ。綾奈ちゃん、華香ちゃん。今日も元気だね」
「うふふ……」
結果的に綾奈も彼らと親しくなり、いつも加藤くんに対してデレデレしている。
おかげでクラスの派手めな女子から目を付けられているっぽいんだけど、綾奈は気にしていないみたい。大丈夫かなあ……。
そんな加藤くんも、派手だ。いつも耳に金色のイヤリングが光っている。きっとお気に入りなんだろう。
しかし、うちは校則が緩いけど、イヤリングってセーフなのかな?
そんなのを着けている男子なんて、他に見たことがない。
「ねえ綾奈。加藤くんっていつもイヤリングしてるけど、あれってなんだか気にならない?」
「うん、わかる、かっこいいよねぇ」
いや、そういうことじゃねーよ。
私は心の中でそう思ったけど、綾奈のために話を合わせておいた。
でもある日、綾奈が気がついた。
「あれ、今日イヤリングしてなかったっけ?」
見ると、確かに加藤くんの耳にはイヤリングがなかった。
「ああ……ちょっと、どっかいっちゃって。体育のときに外したからかなあ」
いつも調子が良くて明るい加藤くんだけど、今はどことなく青い顔をしているように見えた。
すると綾奈が騒ぎ出した。
「ええ! それじゃ困るじゃん! 探すの手伝うよ! ね、華香?」
「え? あ、うん」
おいおい、いきなり私を巻き込むなよ。
でも、しょんぼりしている加藤くんを見たら、確かに助けてあげたくなる。
「だからさ、みんなで探そうって言ってるんだけど、断りやがるんだよ」
雪谷くんは少し不機嫌そうに言った。
「いやだって、悪いじゃん? あんなの高いもんじゃないし、また買えばいいわけでさ」
「え、でもさ」
私は口を挟んだ。
「あのイヤリング、いつも着けてるから、お気に入りなんじゃないの?」
「そうだよ、だってあれ……」
と、雪谷くんが言いかけたところで、加藤くんが遮った。
「いいんだって! 大丈夫だから! 先生に聞かれたらめんどくさいし、もしかしたら鞄の奥から出てくるかもしれないじゃん? 綾奈ちゃんも華香ちゃんも、気にしてくれてサンキューな」
はい、この話はおしまい! 加藤くんはそんな雰囲気を出して、スマホをいじりだした。
うーん。どうも、加藤くんはみんなを巻き込みたくないみたいだ。
まあ、騒ぎにしたくないとか、迷惑をかけたくないという気持ちもわかるけど……。だったら、そんなにしょんぼりしないでよね。
その後の休み時間に、スマホにメッセージが来た。雪谷くんからだった。
『放課後、体育館裏に来てくれない?』
ええ、また呼び出しだ。
何だろう。私、何かやっちゃったかな……。
だけど、思い当たることは何もない。
『なんで?』と返すと、
『加藤のこと』『頼む』と来た。
ということは、きっと失くしたイヤリングの話だろうな。
でも、どうして私なんだろう。綾奈の方がよっぽど張り切っていたのに。
そのとき、どうやら私は眉間にシワを寄せていたらしく、綾奈に頭を小突かれてしまった。
「どした? そんな顔をしてたら、若いのにシワができちゃうぞ」
「ううん、何でもない」
わざわざ私あてに送ってきたということは、綾奈には黙っておいた方がいいのかもしれない。
それにしても、雪谷くんってときどき説明不足で、何を考えてるのかよくわかんないんだよね……。
はあ、とため息をついてから、私はスマホを机に伏せた。
一緒に遊びに行くほどじゃないけど、校内で顔を合わせれば挨拶はするし、雑談をすることもある。
まさか私が、目立つ男子グループと仲良くなる日が来るなんて。人生何があるか、わからないものだね。
そして、その恩恵を最大限に受けているのは綾奈だった。
「加藤くぅん、おはよう」
「おはよ。綾奈ちゃん、華香ちゃん。今日も元気だね」
「うふふ……」
結果的に綾奈も彼らと親しくなり、いつも加藤くんに対してデレデレしている。
おかげでクラスの派手めな女子から目を付けられているっぽいんだけど、綾奈は気にしていないみたい。大丈夫かなあ……。
そんな加藤くんも、派手だ。いつも耳に金色のイヤリングが光っている。きっとお気に入りなんだろう。
しかし、うちは校則が緩いけど、イヤリングってセーフなのかな?
そんなのを着けている男子なんて、他に見たことがない。
「ねえ綾奈。加藤くんっていつもイヤリングしてるけど、あれってなんだか気にならない?」
「うん、わかる、かっこいいよねぇ」
いや、そういうことじゃねーよ。
私は心の中でそう思ったけど、綾奈のために話を合わせておいた。
でもある日、綾奈が気がついた。
「あれ、今日イヤリングしてなかったっけ?」
見ると、確かに加藤くんの耳にはイヤリングがなかった。
「ああ……ちょっと、どっかいっちゃって。体育のときに外したからかなあ」
いつも調子が良くて明るい加藤くんだけど、今はどことなく青い顔をしているように見えた。
すると綾奈が騒ぎ出した。
「ええ! それじゃ困るじゃん! 探すの手伝うよ! ね、華香?」
「え? あ、うん」
おいおい、いきなり私を巻き込むなよ。
でも、しょんぼりしている加藤くんを見たら、確かに助けてあげたくなる。
「だからさ、みんなで探そうって言ってるんだけど、断りやがるんだよ」
雪谷くんは少し不機嫌そうに言った。
「いやだって、悪いじゃん? あんなの高いもんじゃないし、また買えばいいわけでさ」
「え、でもさ」
私は口を挟んだ。
「あのイヤリング、いつも着けてるから、お気に入りなんじゃないの?」
「そうだよ、だってあれ……」
と、雪谷くんが言いかけたところで、加藤くんが遮った。
「いいんだって! 大丈夫だから! 先生に聞かれたらめんどくさいし、もしかしたら鞄の奥から出てくるかもしれないじゃん? 綾奈ちゃんも華香ちゃんも、気にしてくれてサンキューな」
はい、この話はおしまい! 加藤くんはそんな雰囲気を出して、スマホをいじりだした。
うーん。どうも、加藤くんはみんなを巻き込みたくないみたいだ。
まあ、騒ぎにしたくないとか、迷惑をかけたくないという気持ちもわかるけど……。だったら、そんなにしょんぼりしないでよね。
その後の休み時間に、スマホにメッセージが来た。雪谷くんからだった。
『放課後、体育館裏に来てくれない?』
ええ、また呼び出しだ。
何だろう。私、何かやっちゃったかな……。
だけど、思い当たることは何もない。
『なんで?』と返すと、
『加藤のこと』『頼む』と来た。
ということは、きっと失くしたイヤリングの話だろうな。
でも、どうして私なんだろう。綾奈の方がよっぽど張り切っていたのに。
そのとき、どうやら私は眉間にシワを寄せていたらしく、綾奈に頭を小突かれてしまった。
「どした? そんな顔をしてたら、若いのにシワができちゃうぞ」
「ううん、何でもない」
わざわざ私あてに送ってきたということは、綾奈には黙っておいた方がいいのかもしれない。
それにしても、雪谷くんってときどき説明不足で、何を考えてるのかよくわかんないんだよね……。
はあ、とため息をついてから、私はスマホを机に伏せた。



