文芸部のオカルト伝承記記述1

五月二十六日金曜日
「おはよう一生」
 その一言で目が覚める、体中が痛い、
「あ~、痛った、腕、、腕動かん」
「そんな所で寝てるからだよ、今日から私と一緒に寝るかい?」
 ハナがからかうようにそう言ってくる
「大丈夫、次からは横になって寝るから」
 そう言いガチガチに固まった体を起こし、学校に向かうのだった
 ——————
「オカルトとSFの違いって何?」
 お昼休憩、皆がそれぞれ仲いいグループで飯を食っている時に中村が急に話しかけてきた
「……いきなりだね」
「まぁ気になっちゃったし、で、オカルトとSFの違い……」
「何度も言わんでよろしい」
 何だこいつ本当に、昨日たまたま会っただけでそんなに仲いいわけでもないのに何で僕にすり寄ってくるんだ、
 そう思いつつも質問に返した
「オカルトって言うとお化け的な、幽霊とか、、とにかく科学じゃ証明できないものだ」
「ふ~ん、じゃあSFは?」
「UFO?」
「なるほど?じゃあさ、()()()()()()()?よくあるじゃん不老不死!とかさ」
「それは、、」
 答えれなかった、伝承と言えどオカルトめいてるのも事実だしオカルトと一緒くたにするのもおかしい気がする、中村の奴以外と難しいことを聞いてくるな、と思ってると
「俺はさ伝承てオカルトだと思っとるんよ、俺はさ()()()()()()()()()だと思うんだよね」
「なるほど?よく分からん」
 中村は熱く語ってくれているが僕としてはオカルトの話にそこまで興味がないため弁当をつつきつつ話半分で聞くのであった
 ——————
「悲願の家って知ってます?」
「知らん」
 学校の授業も終わり各々が部活に勤しむ中かなでがいきなりそんな事を聞いてきた、どうせ何かのオカルト話だろう
「ネットで調べたら出てきますよ、調べてみてくださいよ」
「そんな事やってる暇ないの、部活しなさい」
「何すればいいんですかね?」
 まぁ、確かに、文芸部って何すればいいんだ?
 部室の隅にある本棚に詰め込まれてる古本でもいじれば良いのだろうか、僕はやらないけど
「ほら、あそこに古本があるだろ、それ見て小説とか冊子とか作っといて」
「それ本当に必要なことなんですか?」
「いや?」
「……」
 今日も今日とてオカルト漬けだ、今日調べているのは蓬莱山について、一応山登りになるので山の登り方や神社における礼儀作法等をスマホで調べていた、て言うかスミレがこんな時に限って不在なのだ、何処行ったんだよあいつ、とそんな事を思っていると
 ガラガラガラ——
「一生居る?」
 中村が扉を開けて来た、こんな所に来るなんて珍しいこともあるもんだと思った、
「あいよー、どした?」
「一生お前課題だし忘れてるぞ、武田が探しとったで」
「まじー?」
 どうやら課題を提出してなかったらしい、しかも武田って、歴史総合か、やだな〜武田怖いもんなぁ〜
「一生お前顔に出てるぞ、ドンマイ」
「先輩?これ、何です?」
 中村と話しているとかなでが一冊の本を持ってきた
 本の表紙には
 《S4k4ceiapwwgcm3mkb6e4diqecpo7kvdnfr5gg7sph7jjppqkvwwqtyd.on1on》
 と書いてある
「ウ~ン、分からん、スミレに聞いてくれ、多分僕より詳しいはずだから」
 そう言ってかなでを軽くあしらい、僕は武田が居るであろう職員室に向かうのだった
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「失礼します」
 職員室に着くなり武田の机に向かう
「武田先生、遅れて申し訳ありませんでした」
「珍しいな、二十日が期限守らないなんて」
「すいません」
 武田先生は僕の事を苗字の方で呼ぶ、他の先生は下の名前で呼ぶのだか何故か武田は苗字、何故なんだ?
「何かあったのか?」
「いえ」
「そうかなら何で忘れた?」
 武田のやつは理詰めと言うか何と言うか、とにかく嫌なヤツだ、多分全校生徒武田のことは嫌いだと思う
「そう言えばお前んとこの文芸部?そろそろ廃部になるかもな」
「はい?」
「部員三人以上居ないと部活動として認められないって校則であったんだが覚えてるか?今文芸部は八神スミレと二十日一生、二人だけだぞ」
「昨日入部希望者が来ましたよ、そして快く受け入れました」
「入部届けは出したか?そんな話を聞いた覚えはないが」
 こいつ、、、本当に教師なのだろうか?あまりにもあまりにもじゃないか、僕が言うのも何だが廃部にする必要もないのに
「僕から言っておきます、僕は部員に戻らないといけないので」
 そう言い僕はそそくさと職員室から出るのだった、武田はやっぱり苦手と言うか何と言うか、、嫌いだ
 ——————
「一生!見てよこれ!面白い本じゃない?!」
 僕が部室に戻るやいなやスミレが先ほどかなでが見つけた本を見せつけてきた
「あ~それね、かなでから奪ったん?」
「奪ったって、人聞き悪くない?()()()の」
 かなでの方を見ると作戦会議台に突伏している、盗られたのだろう、かわいそうに
「それ返してやりなよ、スミレのじゃないだろ」
「うん、でもかなでのでもないよ?」
 コイツほんま、いい性格してるなと思いつつかなでに
「あ、そういやかなで、入部届出してないでしょ、昨日先帰ったのに何やってたん」
「あそういやそうでした!入部届出してきまーす」
 かなではそう言うとそそくさと部室から出ていってしまった
 それを尻目にスミレに本について聞くことにした
「スミレさ、それ何なの?」
「知らな〜い、多分文芸部の文集か何かの資料じゃない?」
 そう言うとスミレはその本をペラペラとめくりながら、分かっているのかは分からないが頷きつつ、へー、ほー、と言っている、するといきなり
「ねえねえ一生、これ大分呪物だよ!見てこれ!」
 適当に見ていたであろうスミレはあるページを見ると僕にそう言い見せてきた、
 《蓬莱山の神々、日和山浜水海底陸都市伝説、神大崎公園八分咲きの遅き桜、大八島瓦解の巻》
 およそスミレが好きそうなワードが綴られていた、だがそのワードの中の()()()()()()に目が行った
「蓬莱山の神々か、どう思う?スミレ」
「うーん、元々調べてる人が居たとか?」
「だけど文芸部ってオカルト研究会になったの僕らの代からじゃんか」
 僕達が文芸部に入ったときは先輩方はもう引退しており部活動には参加していなかったが、聞く限り()()()()()()だったそうだ
「まぁこれは一旦保管だな、スミレが持っといてよ」
 僕はスミレが読みたいと思ったので、スミレが持っとくように言ったのだがスミレは
「一生が持っててよ、一生あんまりオカルト知識がないんだからさ」
「何故に?」
 何と僕が持つことになってしまった、僕としてはこんな呪物持ちたくないんだけどなぁ、と思いつつも渋々受け取ったのだった
 ———— 
僕達はあの後部活動をいつもどうりして、今日の所は早めに解散した、なぜならば明日が丁度蓬莱山に行く日だからだ、
 各々体力を温存する必要があるとスミレからの提案でそのまま帰宅した、僕はと言うと相変わらずスミレの家に転がり込んでいた
「一生?晩御飯カップ麺でいいよね?」
 台所からスミレがそう叫ぶ、今日はスミレのママさんとパパさんが居ないからスミレがご飯当番らしい、そういやスミレん所は両親共働きで父さんも母さんも家にはあまり帰らないらしい、可哀想に、なんて柄にもないことを思いつつ
「おけ!一番美味しいので!」
 と返した、そして僕はスミレから受け取った本をソファに座りながら読む、内容も気になるがやはり題名だろう
 《S4k4ceiapwwgcm3mkb6e4diqecpo7kvdnfr5gg7sph7jjppqkvwwqtyd.on1on》
 こんな題名の本は見たことがない、て言うかこれ何かのサイトのリンク?
 スマホで調べることも出来たのだが怖いのは嫌なので辞めておいた、
「あった」
 僕は《蓬莱山の神々》のページを開くと同時にスマホで検索エンジンを立ち上げる、Google先生だ
「えっと〜、なるほど〜?」
 一つ一つ読んでは調べ読んでは調べを繰り返した。
 結論から言うとこの本の内容はネットの情報とほぼ変わらなかった、やはりこれは先代のオカルトジャンキー達による資料かなんかなんだろう、だが、にしては
「うーん」
 この本には一つおかしなことがある、それはこの本の書き方が記述ではなくどっちかと言うと体験談寄りなのだ、
 〜だと思った、〜だ、〜は綺麗だった、
 どれもこれも経験したような文脈だ、まぁ文章を書き慣れていなくてネットの記事をそのまま写したのならこうなるのだろうが僕としては気になる所だ、と僕が本とにらめっこしていると
「何読んでるの?一生」
 ハナがリビングに入ってくるなり僕にそう声を掛けてきた
「これな、なんか面白そうなオカルトの本」
 そう言うとハナは小首をかしげながら
「一生てオカルトの本読んだりしてたっけ?」
 そう言いつつ僕の隣に座ってきた
「見せてよ」
「良いけど破らんでね」
「破らん」
 そんな軽口を挟みつつハナに本を渡した、ハナはまず本の題をスマホで調べているようだ、まぁそうだよな
「なるほど?一生これリンクだよ闇サイトだってさ」
「え?それ調べちゃって大丈夫なやつ?」
 何と本の題名は闇サイトのリンクだったらしい
「大丈夫、闇サイトって言っても普通の検索エンジンじゃあ開けないから」
「そっか、てか詳しくない?」
「闇の住人だからね」
 ハナとそんな会話をし本を読みふけった、曰くハナもこの本の書き方に違和感を感じたらしい、これは後でスミレとかなでに教えてあげないとな、と思っていると
「一生!カップ麺置いとくね!」
 とスミレが台所の奥から叫んだ
「はーい!」
 とそう返した、するとハナは
「今日カップ麺かぁ」
 と少しがっかりした様子だったので
「大丈夫、多分カップ麺は僕だけだから、ハナとスミレは普通のご飯だと思うよ」
「一生だけカップ麺、可哀想に」
「一番美味しいカップ麺頼んだから多分大丈夫」
 とそんな会話をし僕達はご飯を食べに向かうのだった。
 ——————
 ご飯を食べた後僕は珍しくハナの部屋にお邪魔していた
「これがパソコンね、でこれが本棚、そんでこれはクローゼット、ここはベット」
 謎に部屋の紹介をしているハナを尻目に僕は例の本に夢中だった
「ねぇ聞いてないでしょ一生、モテないよそんなんじゃ」
「うい」
 僕は適当な返事をして、ハナは頬を膨らませた、
「一生!遊べ!私と!遊べ!」
 何の脈絡もなくいきなりハナはそんな事をいうと僕に突っ込んでくる
「うぉあ!危ないてハナ!」
 そのまま押し倒された僕はハナを押しのけるように隅にやった、何だハナの奴今日はノリがいいと言うか押しが強い、と言う感じだ、きっと暇なんだろう
「はいはい、何なん?」
 僕が渋々と向き直ると
「お客様!貴方()()()()()()()()!そんな貴方にこちら!このお守りがあれば悪しき者から身を守れます!何と!こちら一点で驚異の千円!お買い得ですよぉ〜」
 そう言いハナは恐らくお手製のピンクに綺麗な花柄のお守りをゆらゆらさせて見せつけてくる
「……金欠?」
 と僕がハナに聞くと
「買うの?買わないの?」
 急に素に戻ったハナがぐいっと身を寄せて来た
「そーゆーの押し売りって言うんだぞ」
 と僕は呆れつつハナ言う
「これで身が守れるならいいじゃん?」
 ハナは小首をかしげながらこちらを見てくる
「……分かった分かった、買うよ、一つ下さいな」
「毎度ありぃ!」
ハナはそう言うと僕から千円をぶんどるような形で受け取った
 まぁハナもスミレに相談するのはハードルが高いのだろう、千円ぐらいいいかとそう思った
「じぁあ僕本読んでていいかい?」
 と僕がすぐさま本に向き直ると
「……いいんじゃない?読めば?本」
「……機嫌悪い?」
「別に」
 絶対機嫌悪いだろこれ!まぁ刺激しなけりゃ大丈夫か、そう思った僕は
「じゃ僕リビング戻るから」
 と言うとそそくさとハナの部屋を後にした、ハナはこちらを多少睨んでたような気がするが気にしないようにした、そしてリビングのソファに座り込み本を読んでるうちに僕は寝落ちをしてしまった
——————
「はぁ、だから嫌なんすよ」
「私に触られて嫌とは生意気だな〜!」
 そう言う問題ではない、別にこの女の人は綺麗だし正直タイプではあるのだが、いきなり頬をイジイジしてくるのが怖い、と言うか気持ち悪い、そりゃそうだ、俺はこの女と大して仲良くもないのだから
「てなわけで俺は今日限りで仕事辞めますわ」
 そう女に言ったのだが突然女は俯きクスクスと笑い出す
「貴方さ、そう簡単に辞めれるとでも?簡単に?そう思ってるの?」
「……」
 目の前の女は不適に笑い出す、フフフとまるで気味の悪い演出のように
「悪いけど貴方には消えてもらうよ、ここの秘密を知ってしまってるからね」
 そう言い女がこちらにすり寄ってきた、それを俺は
 額をこつく事で止めていた
「イテッ」
 そう女が言うと
「何もぶつことはないじゃない!ちょ〜っとふざけただけで!」
「あんたが言うとおふざけに聞こえないんだよ」
全く、今まで何回この下りがあったのだろうか?ここの仕事に就いたとき、この扉について聞いたとき、この女自信のことを聞いたとき、事あるごとに俺を消そうとしてきた、もういい加減ネタが割れてきてると言うもんだ
「全く今まで何回俺んこと消そうとしたと思ってんすか」
「まぁそれもそうだね」
 するとその女はくるっと通路側を見て
「じゃあ検討を祈るよ、さようなら」
 そう言い女は通路の奥に消えてった
「検討を祈る?ありがとさん」
 そう言い俺は警備に戻った、やめると言っても今日までは警備をしなくてはいけない、さて、この仕事辞めたら何すっかなぁ、考えとかないとな