そして、翌日の放課後、宮下たちに教えてもらった2年3組の教室へ向かった。
次々と教室から出てくる人を眺め、偶然目が合った先輩に「くろみね先輩はいますか」と尋ねると、「まだ中で寝てるよ」と教えてくれた。
みんなが教室から出ていったことを確認してから、教室に恐る恐る入る。
ポツンと机に伏せて眠っているくろみね先輩の前に立つと、机の上にあるノートには『黒峰聡』と書かれていた。
無造作だけど、ハリのある黒髪に、長い手足。
目の前に中学生の頃に見た憧れの人が座っていると思うと、それだけで息が止まりそうだった。
「あの……黒峰先輩……」
ドキドキしながら声をかける。そっと声をかけてしまったからか、先輩からは何の反応もない。
「あ、あのっ!黒峰先輩っ」
次は少し声を大きくして、憧れの人の肩をトントンっと叩いた。
すると、黒峰先輩は「んん……」と声を漏らして、その体格の良い体をもぞもぞと起こした。
「なに?」
「……っ!」
僕は黒峰先輩の顔を見て、息が止まった。
「てか、誰?」
追い討ちをかけるように、黒峰先輩が僕に聞く。
「あぁー!!!」
眠たそうに僕を見上げる黒峰先輩は、以前僕に野球ボールを手渡して怒ってきた鬼みたいな人だった。
似ているなと思っていたけど、本当にこの僕が憧れていた人とこの鬼みたいな人が同一人物だったなんて。
「うるっさ。なんだよ」
「この前の!」
「あぁ、野球部の下手くそか」
なんだ、この失礼な人は。どう考えても、こんな人が僕の初恋であるはずがない。
「で、なんの用?」
ものすごくぶっきらぼうな態度を取られている。
なのに、僕の心臓は加速度をつけて鳴っている。
腹が立つ。
なのに、会えて嬉しい気持ちが抑えられなかった。
ずっと会いたいと思っていた人だったから。
理想と現実は違うとはいえ、ここまで違うとは思っていなかったけれど、嬉しさと腹立たしさの矛盾が体の中でぐるぐると渦巻いて、自分の感情に溺れそうになる。
「く、黒峰先輩っ、あの……野球部に入ってください!」
僕は自分の気持ちを抑え、勇気を出してお願いした。目をぎゅっと瞑りながら、丁寧に、頭を深く下げた。
「嫌だけど?」
黒峰先輩は即答だった。
断るのに一秒も経ってない。
これは、難攻不落というか、なんというか。
迷いのなさを目の当たりにして、先輩たちの心が折れた理由がわかった。
次々と教室から出てくる人を眺め、偶然目が合った先輩に「くろみね先輩はいますか」と尋ねると、「まだ中で寝てるよ」と教えてくれた。
みんなが教室から出ていったことを確認してから、教室に恐る恐る入る。
ポツンと机に伏せて眠っているくろみね先輩の前に立つと、机の上にあるノートには『黒峰聡』と書かれていた。
無造作だけど、ハリのある黒髪に、長い手足。
目の前に中学生の頃に見た憧れの人が座っていると思うと、それだけで息が止まりそうだった。
「あの……黒峰先輩……」
ドキドキしながら声をかける。そっと声をかけてしまったからか、先輩からは何の反応もない。
「あ、あのっ!黒峰先輩っ」
次は少し声を大きくして、憧れの人の肩をトントンっと叩いた。
すると、黒峰先輩は「んん……」と声を漏らして、その体格の良い体をもぞもぞと起こした。
「なに?」
「……っ!」
僕は黒峰先輩の顔を見て、息が止まった。
「てか、誰?」
追い討ちをかけるように、黒峰先輩が僕に聞く。
「あぁー!!!」
眠たそうに僕を見上げる黒峰先輩は、以前僕に野球ボールを手渡して怒ってきた鬼みたいな人だった。
似ているなと思っていたけど、本当にこの僕が憧れていた人とこの鬼みたいな人が同一人物だったなんて。
「うるっさ。なんだよ」
「この前の!」
「あぁ、野球部の下手くそか」
なんだ、この失礼な人は。どう考えても、こんな人が僕の初恋であるはずがない。
「で、なんの用?」
ものすごくぶっきらぼうな態度を取られている。
なのに、僕の心臓は加速度をつけて鳴っている。
腹が立つ。
なのに、会えて嬉しい気持ちが抑えられなかった。
ずっと会いたいと思っていた人だったから。
理想と現実は違うとはいえ、ここまで違うとは思っていなかったけれど、嬉しさと腹立たしさの矛盾が体の中でぐるぐると渦巻いて、自分の感情に溺れそうになる。
「く、黒峰先輩っ、あの……野球部に入ってください!」
僕は自分の気持ちを抑え、勇気を出してお願いした。目をぎゅっと瞑りながら、丁寧に、頭を深く下げた。
「嫌だけど?」
黒峰先輩は即答だった。
断るのに一秒も経ってない。
これは、難攻不落というか、なんというか。
迷いのなさを目の当たりにして、先輩たちの心が折れた理由がわかった。



