タルトをひとくち食べさせて

自販機の近くに”彼ら”はいた。

「なぁ〜カイト〜今からでもいいからさ〜俺らと夏祭りまわろ?な!お願い!」
「っだから…」

早瀬くんと男たち3人は何やら揉めているようだった。

「俺らのためにも!お願い!」
「カイト連れてきてって女子に頼まれてんだよ〜!」
「頼む!今日なんでも奢るから!!」


…そうだ。
早瀬くんはめちゃくちゃモテる。
いつも他の人との誘いを全部断って僕といてくれる。

…それっていいのかな?

急に客観的な視点でみてしまう。

もしここで早瀬くんが彼らと行ってしまうかもしれない。

大丈夫…行くわけない…
と自信を持って言い切れなくなってくる。

どうしよう。
離れたい。
答えを知る前に
逃げ出したい。

自販機に背を向け、帰ろうかという時、
また彼らの声が聞こえてきた。

「今日もアイツと来てんだろ?アイツと一緒に回るより…」
「は?何?アイツって?いつきくんのこと?」
「え、あ、あぁそうそうソイツ。最近ずっと一緒にいるソイツより…」
「お前らに何がわかんの?」
「え、」
「いやいや、怒んなって別に…」
「お前らなんかとより、いつきと夏祭り楽しみたいんだけど。もう戻っていい?」
「んでだよ。なんでそんなにアイツを…」
「俺はいつきのことがす…」

気づいたら早瀬くんの目の前にいて、
彼の手を強引に引き、
驚く彼を無視して人混みに紛れる。

自販機の前に取り残された彼らも驚いたのか
追ってくるそぶりもない。

それに気づいてもすぐに離したくなくて。
気づいたら人気のないところまで来ていた。