タルトをひとくち食べさせて

「カイト、お前また記録更新じゃん。最近なんかすごくね?」

聞き馴染みのある名前が聞こえ、
生クリームを混ぜる手が止まり、
窓の方をチラッと見る。

「いや〜偶然かな。」
「どんな練習してんだよ〜!教えろよ〜!」
「別に特別なことはしてないよ。」

僕が見てることに気づいていたのか、
ワザと僕の方を見ながら、

「練習の後、美味しいスイーツ作ってくれる人がいるから、かも?」

恥ずかしくなってきて、
窓の外を見るのをやめて
再び生クリームを混ぜはじめる。

「じゃあ!今日も頑張ろっかな〜!今日のご褒美のお菓子は何かな〜!」
ワザと僕に聞こえる声で話してるな…

「え、え?彼女?!彼女できた!?」
「違う違う。…でもまぁ、それくらい大切な人かも?」
「え〜!じゃあ彼女じゃ〜ん!お前抜け駆けかぁ!?」
「だから違うって。」
「おーい。もう一本ずつ。行くぞ〜!戻ってこーい!」
「「はーい。」」

「今日も一緒に帰ろうね?家庭科室の前で待ってて迎えに行くから、じゃあまた!頑張ってくる」
「おーいカイト〜!もどってこーい!」
「はーい」

早瀬くんは離れていく前にコソッと僕にだけ聞こえる声で呟いた。
今日のスイーツも絶対成功させてあげなきゃな。