タルトをひとくち食べさせて

「いーつーきーくーん!いる!?」

帰りのチャイムが鳴り止むのとほぼ同時に入ってきた彼に
クラスのみんなが注目する。
そのまま女子数人が僕の方に目を向ける。
っうぅ…居た堪れない…
気づいてなかっただけで、
朝もこんな感じだったのかな…

僕はサッとカバンを取り、扉の前の彼の方に向かっていく。
「あ!いつきくん!朝ぶりだね〜」
「う、うん。で、何か用…かな」
「そうそう!今日俺も部活休みだから駅前のカフェにデー…!」

危険を察知した僕は彼の腕を取り、教室から遠ざける。
ちょっと教室がざわついてた気がする…

「ちょちょ、いつきくん!どうしたのどうしたの?」
「い、いや今なんて、言おうとしたの?」
「ん?駅前のカフェにデート、だけど?」
ありがとう僕の危機管理能力。

「ね?行くよね?」
「え、えと…」
「お、迷ってるな〜?そういう時は行ったほうがいいからレッツゴー!!」

あの時と同じ、意地悪な笑顔を僕に向けたかと思えば、
今度は逆に手を握られ靴箱の方に連れて行かれた。