タルトをひとくち食べさせて

予報通りの雪。
いつもは無音の僕の部屋に響く、早瀬くんとの会話とゲームの音。

「さっむ〜…早く春来ないかな〜…」

ピピピッ!ピピピッ!ピピピッ!…

「お!」

反射的に音の出所、
テーブルの上のスマホのタイマーを止める。
待ち受けの初々しい夏祭りデート帰りの2人と目が合った。

「タルト、持ってくるね!」
「うん。俺も行こうか?」
「いいよ。ちょっと待ってて。」

冷蔵庫から出したタルト生地は、見た目・香り・固さ全てにおいて美味しそうだった。
2人で作ったスイーツシリーズの中でも過去イチの出来かも。
最後の仕上げで生地の上にホイップやブルーベリー、切り分けておいたキウイ、それに僕たちが大好きなイチゴを載せていく。
これにナパージュを塗り終わったら…

「お、完成じゃ〜ん!」

待ってていいって言ったのに、
一緒に着いてきた早瀬くんが僕を後ろから抱きしめる。
2人で作ったタルト。高校生ながら少し豪華だ。

「危ないから、ちょっと離れてて」

少し離れたのを確認してから包丁を手に取り、
タルトを切り分ける。
このタルトは2人で作ったが、
この前の県大会1位のお祝いも兼ねているので、
フルーツは早瀬くんの方が気持ち多めにしてあげる。

それぞれのお皿にひとつずつタルトを載せて、
席に着く。
「よし。たべよっか。今日はゆっくり食べれるね。」
「うん。チャイムも、鳴らないし。」
「あ!その前に写真!」

早瀬くんは持ってきたスマホを僕たちが入るように調整して、
「はい!チーズ!」パシャッ!

このタルトはどんな味がするかな。