「じゃあ、またな」
「俺らはまだ一緒だけど」
「さすが幼馴染み」
【友人】に手を振る。
いつもなら思い切り肺に息を送り込めるのに。
「一緒に帰るの久しぶりだな、嬉し」
少年のように無邪気な笑顔で俺の顔を見る。
一方俺は。
ーーーーー……今日はまだつけてないと、か。
×××
次の日、家をでようとしたら呼び鈴がなに朝っぱらから誰かと思ったら、
「よっ」
同じ制服を来た八城が立っていた。
八城の幻覚まで見えてしまうなんて、頭が寝ぼけているらしい。
一旦玄関のドアを閉じようとすると掌がドアを掴んで離さない。
「閉めんなよ」
「八城、なんで俺と同じとこの制服着てんだよ」
「今日から同じ高校通うからに決まってるだろ。ちゃんと転入試験受けてちゃんと合格してちゃんと入学証書もらってるやつのどこが悪い」
というわけで、
「今日からこのクラスに入ります。八城颯|《やしろはやて》です。好きな食べ物はガ○トのコーンマヨピザ!よろしくお願いします」
俺と同じ高校、同じクラスに転入した。
俺の席の隣…にくることはなく、教室のほぼど真ん中に机と椅子が用意され、「八城はこの席な」と担任が指示する。
これがもし俺だったら初日にしてそうそう退学届けをだしかねないほどのサプライズだ。
体育会系の担任なだけにそういった生徒の内部事情を考慮せず、自分が正しいと思う道をとことん突き進んでしまう。
周りのクラスメイトはそんな担任の性格を知ってることもあって同情の思いで八城を見つめた。
その後、八城は誰もが予想しない言葉を発した。
「えー。ど真ん中じゃないっすか。俺がみんなと仲良くなれるように先生きーつかってくれたんですか?ありがとうございます」
この瞬間、担任以外のクラスにいたやつら全員の心の内が一致した。
「「こいつやべぇ(いい意味で)」」
一瞬にしてみんなの心を掴んでいった。
天然なのか社交辞令がうまいのか。
自分の母親に対してもそうだが、人を悪意を感じさせることなく気持ちよくさせる能力がある。
嬉しくも恥ずかしそうな動きをしながら席につく。
「それじゃよろしくな八城」
担任の八城への株がうなぎがのぼるよりはやく上昇しただろう。
担任はピノキオより鼻が伸びていた。
ホームルーム終了のチャイムがなるとみなが我先にと八城のところによってたかった。
たった数分の間にクラスに全員の心を掴み、このクラスのヒーローになったんだ。
「八城、おまえすげーな」「八城、インスタ交換しない」「俺と友達になってくれ」
さまざまな声が飛び交い、当の本人がなにを話しているのか全く聞こえず、ライブで関係者席に座ってるような気持ちでその様子を見つめていた。
××
「瑞姫購買行こ!」
八城サークルは昼休みになっても消えることなく、結局俺は眺めているだけで一言も言葉を交わすこともできなければ目を合わせることもできなかった。
授業中斜め後ろから無意識に八城の背中に目線がいっていて、まるで片思いしているみたいだと恥ずかしくなって板書を殴り書き。
顔をあげるたびに自然と八城が視界に入ってしまうから目線がいってはっとして殴り書きしてをひたすら繰り返していた。
ここでいっておくが漫画のように幼馴染みとの再開でお互いひかれあっていくなんていう展開は100%ない。
無意識に目線が言ってしまうのは恋をしているからじゃなく、嫉妬だ。
それに、
『俺、おまえのこと友達だと思ったことないから』
そういったのは八城の方だから。
「他のやつといけよ」
「俺、転校初日で人見知り発動中なんだ。助けてくれよ」
ほんとわかりやすい顔するよな。
バレバレなんだよ、それが嘘だって。
××
「あー、マジダルい、ウザい」
「それならしなきゃいいじゃん」
「やっぱ特は積んどいたほうがいいと思って」
屋上へと繋がる階段に肩を並べて腰を下ろす。
八城は下にも聞こえる程の大きな声で本音をぶちまけ苦行の表情を浮かべる。
これが八城の本性だ。
昔からそう。
いつもクラスの中心にいて、四方八方に笑顔を振り撒く八方美人、クラスの太陽だった。
それを俺は離れた場所から眺めていた。
八城がいれば皆が集まり八城がいなければすべてがバラバラに散る。
八城で太陽系は成り立っていたと言っても過言ではない。
でも、そんなギラギラと皆を照らす太陽の内部はどす黒いマグマに満ちている。
二人で歩く帰り道、毎回のように反吐を吐いていたっけな。
それでもそのときの俺は八城が一緒にいてくれるのを、俺にだけ愚痴を溢してくれていることが嬉しくて、隠しきれない笑みを浮かべてその隣を歩いていた。
今となったらそれもかわいいガキのころの思い出に過ぎないが。
怪訝な顔をする俺を見て、八城は不気味な笑みを浮かべ俺の髪の毛を指の腹でなぞる。
そうだ、一つだけ変わったことがある。
「瑞姫、可愛い」
再開するやいなや、俺を可愛いと連呼する。
しかもその一言目が「よう、俺のお姫様」
なにが俺のお姫様だ。
あまりにも胡散臭い言葉に思い出すたびに背筋が凍る。
しかも、親の前で言うとか頭のネジがどれだけ外れていたとしても理解しかねる。
「それ、やめろよ」
可愛いと言われるのは嫌いだ。
八城の手が止まる。
堪忍したか、と乾いた喉に水を流し込む。
「怒ってるところも、可愛い」
ーーーーー……。
口からシャワーのように水が勢いよく飛び散る。
黒のスラックスはまだらに染まる。
「きったな」
「誰のせいだよ」
声を荒らげ睨み付ける俺を八城は嗜むように目を細め顔を寄せる。
「さぁ、誰のせいだろうね」
ーーーーー……っ!!!
「いたっ!なにすんだよ」
「こっちの台詞だ!」
心臓がうるさい。
「俺らはまだ一緒だけど」
「さすが幼馴染み」
【友人】に手を振る。
いつもなら思い切り肺に息を送り込めるのに。
「一緒に帰るの久しぶりだな、嬉し」
少年のように無邪気な笑顔で俺の顔を見る。
一方俺は。
ーーーーー……今日はまだつけてないと、か。
×××
次の日、家をでようとしたら呼び鈴がなに朝っぱらから誰かと思ったら、
「よっ」
同じ制服を来た八城が立っていた。
八城の幻覚まで見えてしまうなんて、頭が寝ぼけているらしい。
一旦玄関のドアを閉じようとすると掌がドアを掴んで離さない。
「閉めんなよ」
「八城、なんで俺と同じとこの制服着てんだよ」
「今日から同じ高校通うからに決まってるだろ。ちゃんと転入試験受けてちゃんと合格してちゃんと入学証書もらってるやつのどこが悪い」
というわけで、
「今日からこのクラスに入ります。八城颯|《やしろはやて》です。好きな食べ物はガ○トのコーンマヨピザ!よろしくお願いします」
俺と同じ高校、同じクラスに転入した。
俺の席の隣…にくることはなく、教室のほぼど真ん中に机と椅子が用意され、「八城はこの席な」と担任が指示する。
これがもし俺だったら初日にしてそうそう退学届けをだしかねないほどのサプライズだ。
体育会系の担任なだけにそういった生徒の内部事情を考慮せず、自分が正しいと思う道をとことん突き進んでしまう。
周りのクラスメイトはそんな担任の性格を知ってることもあって同情の思いで八城を見つめた。
その後、八城は誰もが予想しない言葉を発した。
「えー。ど真ん中じゃないっすか。俺がみんなと仲良くなれるように先生きーつかってくれたんですか?ありがとうございます」
この瞬間、担任以外のクラスにいたやつら全員の心の内が一致した。
「「こいつやべぇ(いい意味で)」」
一瞬にしてみんなの心を掴んでいった。
天然なのか社交辞令がうまいのか。
自分の母親に対してもそうだが、人を悪意を感じさせることなく気持ちよくさせる能力がある。
嬉しくも恥ずかしそうな動きをしながら席につく。
「それじゃよろしくな八城」
担任の八城への株がうなぎがのぼるよりはやく上昇しただろう。
担任はピノキオより鼻が伸びていた。
ホームルーム終了のチャイムがなるとみなが我先にと八城のところによってたかった。
たった数分の間にクラスに全員の心を掴み、このクラスのヒーローになったんだ。
「八城、おまえすげーな」「八城、インスタ交換しない」「俺と友達になってくれ」
さまざまな声が飛び交い、当の本人がなにを話しているのか全く聞こえず、ライブで関係者席に座ってるような気持ちでその様子を見つめていた。
××
「瑞姫購買行こ!」
八城サークルは昼休みになっても消えることなく、結局俺は眺めているだけで一言も言葉を交わすこともできなければ目を合わせることもできなかった。
授業中斜め後ろから無意識に八城の背中に目線がいっていて、まるで片思いしているみたいだと恥ずかしくなって板書を殴り書き。
顔をあげるたびに自然と八城が視界に入ってしまうから目線がいってはっとして殴り書きしてをひたすら繰り返していた。
ここでいっておくが漫画のように幼馴染みとの再開でお互いひかれあっていくなんていう展開は100%ない。
無意識に目線が言ってしまうのは恋をしているからじゃなく、嫉妬だ。
それに、
『俺、おまえのこと友達だと思ったことないから』
そういったのは八城の方だから。
「他のやつといけよ」
「俺、転校初日で人見知り発動中なんだ。助けてくれよ」
ほんとわかりやすい顔するよな。
バレバレなんだよ、それが嘘だって。
××
「あー、マジダルい、ウザい」
「それならしなきゃいいじゃん」
「やっぱ特は積んどいたほうがいいと思って」
屋上へと繋がる階段に肩を並べて腰を下ろす。
八城は下にも聞こえる程の大きな声で本音をぶちまけ苦行の表情を浮かべる。
これが八城の本性だ。
昔からそう。
いつもクラスの中心にいて、四方八方に笑顔を振り撒く八方美人、クラスの太陽だった。
それを俺は離れた場所から眺めていた。
八城がいれば皆が集まり八城がいなければすべてがバラバラに散る。
八城で太陽系は成り立っていたと言っても過言ではない。
でも、そんなギラギラと皆を照らす太陽の内部はどす黒いマグマに満ちている。
二人で歩く帰り道、毎回のように反吐を吐いていたっけな。
それでもそのときの俺は八城が一緒にいてくれるのを、俺にだけ愚痴を溢してくれていることが嬉しくて、隠しきれない笑みを浮かべてその隣を歩いていた。
今となったらそれもかわいいガキのころの思い出に過ぎないが。
怪訝な顔をする俺を見て、八城は不気味な笑みを浮かべ俺の髪の毛を指の腹でなぞる。
そうだ、一つだけ変わったことがある。
「瑞姫、可愛い」
再開するやいなや、俺を可愛いと連呼する。
しかもその一言目が「よう、俺のお姫様」
なにが俺のお姫様だ。
あまりにも胡散臭い言葉に思い出すたびに背筋が凍る。
しかも、親の前で言うとか頭のネジがどれだけ外れていたとしても理解しかねる。
「それ、やめろよ」
可愛いと言われるのは嫌いだ。
八城の手が止まる。
堪忍したか、と乾いた喉に水を流し込む。
「怒ってるところも、可愛い」
ーーーーー……。
口からシャワーのように水が勢いよく飛び散る。
黒のスラックスはまだらに染まる。
「きったな」
「誰のせいだよ」
声を荒らげ睨み付ける俺を八城は嗜むように目を細め顔を寄せる。
「さぁ、誰のせいだろうね」
ーーーーー……っ!!!
「いたっ!なにすんだよ」
「こっちの台詞だ!」
心臓がうるさい。
