放課後、下駄箱で上靴に履き替えて、昇降口の階段を一段降りると、陽の光が帆高を照らした。
首元にかけた、重量感のある一眼レフを素早く空に向ける。
青く澄み切った空の一部と、羽を広げて高く飛ぶカラスをレンズに捉えて、「今だ」とシャッターボタンを押す。
「ーー良い感じ、かも」
もう一度、と今度は画角を変えてレンズを覗き込むと、見覚えのあるリストバンドとピースサインが映り込み、カラスを見失った。
「邪魔すんなよ…柊木」
レンズを覗き込んだまま口を開くと、頭上から軽快な笑い声が降ってきた。
「ごめんて、なに撮ってんのかな〜って思って。」
「何撮ってようが自由だろ…。あーせっかく今月の課題写真片付けられそうだったのに」
「あっやべ、そうだったの?それはごめん」
舌をペロっと出しながら口元に手を置き、まるで気持ちのこもってない謝罪を繰り返す柊木に力が抜け、「いいよ、もう」と声をかける。
「そっちは?これから部活?」
柊木の全身に目をやると、ノースリーブにハーフパンツ、おでこから後頭部にかけては汗を吸収するヘアバンドを付けている。
そして右手にはリストバンドも。
今は5月下旬で、春夏秋冬の中でも1番中途半端な時期にもかかわらず、まるで真夏かのような柊木のスタイルに少し笑ってしまう。
帆高の口元が綻んだことに気がついた柊木は、あ!と声を上げる。
「なに笑ってんだよ〜、ようやく怪我から復帰出来たんだから、形からでも今のチームの雰囲気に馴染まないとだろ」
「あー…そっか。今日からか」
つい、一眼レフを握る手に力が入る。
「この3ヶ月長かった〜!ようやくコート駆け回れる!夏の総体までに絶対体仕上げるからな。見てろよ帆高」
ビッ、とこめかみのあたりを人差し指で指差される。
柊木の生き生きとした笑顔に、グッと喉元が熱くなるのを感じた。
ふぅ、と息を吐き、自身のこめかみあたりまで伸ばしている柊木の人差し指を軽く掴む。
「…それ何回も聞いた。頑張れよ、応援してる」
口角は上がっているだろうか。不安になったのも束の間、太陽のような笑顔の柊木に、黒髪癖毛の頭をくしゃりと撫でられる。
またな、と手を振り、柊木は体育館へ駆けていった。
柊木の姿が見えなくなったことを確認してから、へなへなと昇降口前の階段にへたり込む。
行き交う他の生徒たちに、高揚した頬がバレないように下を向き、柊木に撫でられた頭を押さえながら、ぽつりと呟く。
「…う、反則だろ…」
3ヶ月前に自覚した恋心が、また1度、熱を上げた。
首元にかけた、重量感のある一眼レフを素早く空に向ける。
青く澄み切った空の一部と、羽を広げて高く飛ぶカラスをレンズに捉えて、「今だ」とシャッターボタンを押す。
「ーー良い感じ、かも」
もう一度、と今度は画角を変えてレンズを覗き込むと、見覚えのあるリストバンドとピースサインが映り込み、カラスを見失った。
「邪魔すんなよ…柊木」
レンズを覗き込んだまま口を開くと、頭上から軽快な笑い声が降ってきた。
「ごめんて、なに撮ってんのかな〜って思って。」
「何撮ってようが自由だろ…。あーせっかく今月の課題写真片付けられそうだったのに」
「あっやべ、そうだったの?それはごめん」
舌をペロっと出しながら口元に手を置き、まるで気持ちのこもってない謝罪を繰り返す柊木に力が抜け、「いいよ、もう」と声をかける。
「そっちは?これから部活?」
柊木の全身に目をやると、ノースリーブにハーフパンツ、おでこから後頭部にかけては汗を吸収するヘアバンドを付けている。
そして右手にはリストバンドも。
今は5月下旬で、春夏秋冬の中でも1番中途半端な時期にもかかわらず、まるで真夏かのような柊木のスタイルに少し笑ってしまう。
帆高の口元が綻んだことに気がついた柊木は、あ!と声を上げる。
「なに笑ってんだよ〜、ようやく怪我から復帰出来たんだから、形からでも今のチームの雰囲気に馴染まないとだろ」
「あー…そっか。今日からか」
つい、一眼レフを握る手に力が入る。
「この3ヶ月長かった〜!ようやくコート駆け回れる!夏の総体までに絶対体仕上げるからな。見てろよ帆高」
ビッ、とこめかみのあたりを人差し指で指差される。
柊木の生き生きとした笑顔に、グッと喉元が熱くなるのを感じた。
ふぅ、と息を吐き、自身のこめかみあたりまで伸ばしている柊木の人差し指を軽く掴む。
「…それ何回も聞いた。頑張れよ、応援してる」
口角は上がっているだろうか。不安になったのも束の間、太陽のような笑顔の柊木に、黒髪癖毛の頭をくしゃりと撫でられる。
またな、と手を振り、柊木は体育館へ駆けていった。
柊木の姿が見えなくなったことを確認してから、へなへなと昇降口前の階段にへたり込む。
行き交う他の生徒たちに、高揚した頬がバレないように下を向き、柊木に撫でられた頭を押さえながら、ぽつりと呟く。
「…う、反則だろ…」
3ヶ月前に自覚した恋心が、また1度、熱を上げた。
