悪魔の生贄が救国の乙女になるまで

「これからの我らの未来に乾杯!」
そう言うとアルベルトは手にしていたワインを飲みほした。
レイアは手にグラスを握ったまま、彼がワインを飲む姿を見つめていたが、飲み終わったアルベルトに視線で促され、意を決してグラスに口をつけた。

「!」
そのワインは予想に反してフルーティーでまろやかな味わいがした。
もしかすると今まで飲んだことがあるワインの中でも1,2を争うほど素晴らしいものだったかもしれない。

魔界に連れてこられてから一滴も水分を取っていなかったこともあり、あっという間に飲み干してしまった。
アルベルトはそれを満足そうに見つめ、笑みを浮かべた。

「では、この後は晩餐会の時間だ。」
そしてアルベルトはレイアの腰に手を添えると強引にホールを出るように促した。
祭壇前に立つノアは複雑そうな表情で出て行く2人を見つめていたのだった。

晩餐会の食事も誰が用意したものか分からないが、見た目も豪華で味も一流だった。
食事が終わりこの後何が起こるのか身構えたものの、あっさりと部屋へと返され、逆にレイアが拍子抜けすることになった。

それからは毎日、朝食と夕食はアルベルトと一緒に取ることになった。
しかし、日中は城を不在にすることが多く、基本的に放置されている状態だった。

初めは城の庭園を恐々散歩していたが、城壁外へ出ることも特に制限されておらず慣れてくると湖の方まで行くようになった。

予想外に平穏で何も起こらない日々が過ぎ、1週間もたつ頃にはすっかり魔界に馴染んで緊張感も薄れてきたのだった。