キミが呼ぶときは

「カッコイイじゃん」
「うるせ」

突っぱねるように言った聡は、いくぞ、と立ち上がった。

こういうところだ。
隣に並んだ聡を見て、どこか満たされた気持ちになる。じゃあ、底に感じる愛おしさは?

友達だから。幼馴染だから。腐れ縁だから。そんな枕詞とは不釣り合いな感情が俺にはある。

「そーいえば姉ちゃんにブラ返した?」
「あー、洗濯機に突っ込んでたらクソ怒られた」
「なんで?」
「知らね」

どれだけ平常を装っても、なかったことにはできない。会話が途切れてしまえば、互いを探り合うような、どことなく張り詰めた空気が生まれてしまう。

「聡」

半ば無意識に名前を呼ぶと、聡の傘がピクリと震えた。

「その、……下心透けてる声で(●●●●●●●●)呼ぶの、マジでやめて」
「は?」
「気づいてないのかよ」

雨をまとったビニール傘が横顔を隠し、ゆらゆらと滲む。

「夢、思い出す。むり」

……ああ、今日が晴れてなくてよかった。濡れないように、傘がぶつからないようにと、お互いの小さな世界を保って並んで歩ける。

いまは。