君の隣にいけるまで

3話

あの日以来、俺は何かと理由をつけて黒瀬に話しかけるようになった。

廊下ですれ違った時。

「あ、りょーくんじゃん!」

「……どうも」

教室の前を通った時。

「りょ〜ぉくん!何してるの?」

「次の授業の準備だけど……」

反応は相変わらず薄い。

けど前みたいに「誰?」とは言われなくなった。

それだけでちょっと嬉しかった。

そんな日々を繰り返しているうちに、色々なことを知った。

黒瀬は、生徒会に入っていること。

部活はやっていないこと。

そして、人に頼まれると断れない性格だということ。

ある日なんて、大量のプリントを抱えて歩いていた。

「うわ、りょーくん何それ」

「授業のプリント…」

「多くない?」

「先生に頼まれたから」

また別の日には、図書室から出てきた。

「あれ?本好きなの?」

「…図書委員」

「え!?生徒会だけじゃないの!?」

「……人足りないから頼まれた」


さらに知ったことがある。

グラウンドから図書室が見えるということ。

部活中、ふと校舎を見上げる。

窓際の観葉植物に水をあげている黒瀬が見えた。

(あ、いた)

何故か少し嬉しくなった。

そして俺は思った。

(……行けば会えるじゃん)

それから俺は、部活終わりや昼休みに図書室へ行くようになった。

別に本を読むためじゃない。

黒瀬に会うためだ。