「ご来客中、失礼いたします」
慌てた様子で入ってきた従者が、フォート伯に近づき耳打ちする。
「なに、侵入者だって?」
フォート伯が怪訝な顔で従者を見上げた。
「はい、門兵が数人で止めたのですが、まったく歯が立たずでして、対処に追われています」
「どんなやつだ?人数は?」
「それが、たった一人でして……。見た目は戦士なのですが、魔法使いと言い張っており、仲間を探していると」
見た目戦士で魔法使い……?
「その者の目的は?」
フォート伯が従者に訊く。
「それが、ここに腰まで届く長い黒髪、歳は十二、口が悪くて気まぐれで、小生意気で態度が尊大な少女がいるはずだから会わせろ、と申しております」
「ちょっと待った、それロンネルだ」
黒髪と年以外はただの悪口だけど、なぜか探されているのは自分だとわかってしまうのが悲しい。
「私の旅の仲間。森を抜けてベロック村まで一緒に来たんだけど、魔獣がいっぱいいたから追い払うように言ったんだ。それでその後、はぐれた」
フォート伯が従者と顔を見合わせる。そして咳払いし、従者に命じた。
「その者をこの部屋に案内しなさい」
「し、しかし、かなり凶暴……いえ強そうですよ……?」
フォート伯が不安そうにこちらを見る。
「あれでも一応魔法使いなんだけどね。確かに剣の腕も立つよ。でも私の護衛だから私に危害さえ加えてなければ平気」
「……だ、大丈夫だ。通しなさい」
フォート伯が今度は自信なさげに従者に命令じた。
しばらくすると、ものすごい勢いの足音がした。そしてぶち破らん限りの大きな音を立ててドアが開く。
「リア様!!」
思わずフォート伯の護衛の兵士たちがロンネルの迫力に圧倒され剣を抜いて構える。ロンネルはそんな兵士たちを眼力だけで牽制した。味方ながら怖い。飢えた猛獣みたい。
「私は無事だよ」
どうどう、と猛獣を静めるように手を上下に振る。
「心配しましたよ、リア様。何かあったらどうしようかと……」
ロンネルが剣を納め、こちらに近づく。
「あの……この方はいったい……」
フォート伯が兵士に囲まれた中から呆然とロンネルを指さす。
見た目が見た目だからね。
ロンネルは通常の大人の倍はあるくらいの巨躯で、日に焼けて眼光は鋭く、髪はくすんだ金色でライオンの立て髪のよう。
「仲間のロンネル。ロンネル、こちらは待ちくたびれて寝ちゃってた私を、このお城まで運んでくれた領主のフォート伯。お礼を言って。というかまず非礼を詫びて」
ロンネルがフォート伯に近づくと険しい形相で睨んだかと思うと、身体をくの字に一気に曲げた。
「リア様を助けていただきありがとうございました。そしてこの度の非礼、誠に申し訳ございませんでした」
フォート伯が硬直したままロンネルを頭の先からつま先まで眺めた。やっぱり信じられないみたい。
ロンネルが戦士ではなく魔法使いだってこと。
杖じゃなく大剣持ってるしね。
まあ、ロンネルのことはどうでもいい。話を戻そう。
「そうだ、話しの途中だったんだ。ロンネルはちょっと待ってて。えっと、どこまで話したっけ。そう、恋人探し。で、旅に出たんだけど、私は魔法は使えるけど生活力ないから、一人奴隷を雇おうと思ったんだ。それが、このロンネル・フォルト」
「リア様、話を端折り過ぎでは……?あと『奴隷』と『護衛』を言い間違えてます」
ロンネルが口を挟んでくる。
うるさいな。いきなり突撃してきて話の腰を折ったくせに。
「そんなわけでロンネル、私はしばらくここに泊めてもらうことになった。だからロンネルはその辺の宿屋でも野原でも好きな所で寝て」
「城に?わかりました。では毎日会いに来ますね」
「ダメ」
「ダメって、リア様。私は護衛ですよ」
絶対ダメ、こんな猛獣。
魔獣が現れた時は盾にちょうどいいけど、歩いていて視界の邪魔になるし、何よりロンネルは目立つから私の存在が薄く見えちゃう。
「街ごと私を護れば問題ないでしょ」
「街ごとですか。わかりました。では街の警備報告をしに毎日来ますね」
「だからダメだって」
延々と平行線な私とロンネルの会話を聞いていたフォート伯が折衷案を出してくれた。
「あの、ではこの城の兵士たちが寝泊まりする所で泊まられてはいかがでしょうか」
慌てた様子で入ってきた従者が、フォート伯に近づき耳打ちする。
「なに、侵入者だって?」
フォート伯が怪訝な顔で従者を見上げた。
「はい、門兵が数人で止めたのですが、まったく歯が立たずでして、対処に追われています」
「どんなやつだ?人数は?」
「それが、たった一人でして……。見た目は戦士なのですが、魔法使いと言い張っており、仲間を探していると」
見た目戦士で魔法使い……?
「その者の目的は?」
フォート伯が従者に訊く。
「それが、ここに腰まで届く長い黒髪、歳は十二、口が悪くて気まぐれで、小生意気で態度が尊大な少女がいるはずだから会わせろ、と申しております」
「ちょっと待った、それロンネルだ」
黒髪と年以外はただの悪口だけど、なぜか探されているのは自分だとわかってしまうのが悲しい。
「私の旅の仲間。森を抜けてベロック村まで一緒に来たんだけど、魔獣がいっぱいいたから追い払うように言ったんだ。それでその後、はぐれた」
フォート伯が従者と顔を見合わせる。そして咳払いし、従者に命じた。
「その者をこの部屋に案内しなさい」
「し、しかし、かなり凶暴……いえ強そうですよ……?」
フォート伯が不安そうにこちらを見る。
「あれでも一応魔法使いなんだけどね。確かに剣の腕も立つよ。でも私の護衛だから私に危害さえ加えてなければ平気」
「……だ、大丈夫だ。通しなさい」
フォート伯が今度は自信なさげに従者に命令じた。
しばらくすると、ものすごい勢いの足音がした。そしてぶち破らん限りの大きな音を立ててドアが開く。
「リア様!!」
思わずフォート伯の護衛の兵士たちがロンネルの迫力に圧倒され剣を抜いて構える。ロンネルはそんな兵士たちを眼力だけで牽制した。味方ながら怖い。飢えた猛獣みたい。
「私は無事だよ」
どうどう、と猛獣を静めるように手を上下に振る。
「心配しましたよ、リア様。何かあったらどうしようかと……」
ロンネルが剣を納め、こちらに近づく。
「あの……この方はいったい……」
フォート伯が兵士に囲まれた中から呆然とロンネルを指さす。
見た目が見た目だからね。
ロンネルは通常の大人の倍はあるくらいの巨躯で、日に焼けて眼光は鋭く、髪はくすんだ金色でライオンの立て髪のよう。
「仲間のロンネル。ロンネル、こちらは待ちくたびれて寝ちゃってた私を、このお城まで運んでくれた領主のフォート伯。お礼を言って。というかまず非礼を詫びて」
ロンネルがフォート伯に近づくと険しい形相で睨んだかと思うと、身体をくの字に一気に曲げた。
「リア様を助けていただきありがとうございました。そしてこの度の非礼、誠に申し訳ございませんでした」
フォート伯が硬直したままロンネルを頭の先からつま先まで眺めた。やっぱり信じられないみたい。
ロンネルが戦士ではなく魔法使いだってこと。
杖じゃなく大剣持ってるしね。
まあ、ロンネルのことはどうでもいい。話を戻そう。
「そうだ、話しの途中だったんだ。ロンネルはちょっと待ってて。えっと、どこまで話したっけ。そう、恋人探し。で、旅に出たんだけど、私は魔法は使えるけど生活力ないから、一人奴隷を雇おうと思ったんだ。それが、このロンネル・フォルト」
「リア様、話を端折り過ぎでは……?あと『奴隷』と『護衛』を言い間違えてます」
ロンネルが口を挟んでくる。
うるさいな。いきなり突撃してきて話の腰を折ったくせに。
「そんなわけでロンネル、私はしばらくここに泊めてもらうことになった。だからロンネルはその辺の宿屋でも野原でも好きな所で寝て」
「城に?わかりました。では毎日会いに来ますね」
「ダメ」
「ダメって、リア様。私は護衛ですよ」
絶対ダメ、こんな猛獣。
魔獣が現れた時は盾にちょうどいいけど、歩いていて視界の邪魔になるし、何よりロンネルは目立つから私の存在が薄く見えちゃう。
「街ごと私を護れば問題ないでしょ」
「街ごとですか。わかりました。では街の警備報告をしに毎日来ますね」
「だからダメだって」
延々と平行線な私とロンネルの会話を聞いていたフォート伯が折衷案を出してくれた。
「あの、ではこの城の兵士たちが寝泊まりする所で泊まられてはいかがでしょうか」



