ジュフレールの魔女と星屑の天秤

幼い頃、ひいおばあちゃんの英雄譚を聞くのが好きだった。

 魔法で敵国の大軍を相手に不死人(アンデッド)軍団を操って戦ったとか、呪いの剣を持つ騎士に魔法で勝ったとか。
 でも一番好きだったのは、ひいおじいちゃんとの大恋愛の話し。
 宮廷魔道士をしていたひいおばあちゃんは、王宮で使用人として働いていたひいおじいちゃんに一目惚れ。

『王宮のパーティの時、給仕をしていた彼に話しかけて仲良くなってね。それから何度もデートして。彼はとても内気で奥手だった。だから思いきって私から告白したの。彼は凄く戸惑ってた。でもね、その後、僕も愛してるって金魔石のついた指輪をくれたわ。ただ、指輪のサイズがあわなくて、こっそり魔法で直して()めたの。ふふ、あの時ほど魔法使いで良かったと思ったことはないわ』

 家族みんなでお菓子を食べながら笑う。

『結婚パーティには何千人もの人が集まって。綺麗なドレスを着て、夢のようだった。私は人前に立つのは慣れていたけど、彼の方は緊張しちゃって。歩く時、手と足の動きが不死人(アンデッド)みたいにぎこちなくて、可笑しかったわ。あれも良い思い出ね』

 ひいおばあちゃんがとても幸せそうな顔をする。

『リア、心から愛せる人に出会うと、世界が一変するわ。目にするものすべてが薔薇色に見えるの。愛するが人がいる人生は、とても幸せよ』