昼休み、俺たちはちょっと足を伸ばして廊下の隅っこの空き教室に来た。
俺が部活の個人練習で使ってるお気に入り。
鷹宮が、俺の声を見つけてくれた場所だ。
雨音の激しい窓際で、俺たちは横並びに座る。
弁当を広げていると、鷹宮が俺の顔を覗き込んできた。
「雲雀野、聞いてほしいことって何だ?」
「あっ……あのな」
そうだ。
実はずっと……土曜日から言いたくて、タイミングを見計らってたことがあるんだ。
俺はムズムズする口をようやく開くことができた。
「夏休みに、合唱部が市のチャリティーコンサートに参加することになってさ」
「そういえば、募金箱を持つボランティアの募集してたな」
「そうそう、それ。で、俺……」
口に出すだけでも緊張する。
俺は水筒のお茶を飲んで、乾いた口を潤した。
それから改めて鷹宮を真っ直ぐ見つめる。
「そこで、ソロを一つ任されたんだよ」
「そのチャリティーコンサート、夏休みのいつやるんだ?」
「え?」
想定外の淡々とした鷹宮の声に、俺は戸惑った。
「な、何日だったかな……お盆明けだったはず」
「聞きに行く」
弁当はそっちのけで、鷹宮はスマホの電源を入れた。スケジュール管理用のアプリを起動してるのが、チラッと見える。
「鷹宮、夏休みはほぼ毎日部活だろ」
「なんとかする」
「……いいのか?」
「ああ。俺はこう見えて、雲雀野より喜んでるから」
そう言った鷹宮は、ようやく表情が和らいだ。
こっちを向いて、大きな手で俺の頭を撫でてくれる。
「おめでとう」
「……っ、ありがとう」
優しくて、あったかくて、心地いい。
「やっぱり、直接言ってよかった」
手も声も表情も香りも、鷹宮を構成するもの全てが好きだ。
通話やメッセージじゃ、この幸せは味わえない。
遠慮なく手に擦り寄っていると、鷹宮の声が甘くなる。
「雲雀野は本当にかわいいな」
「いいだろ? 頭撫でてもらったり、お前の笑顔を見たりしながら褒めてほしいんだ」
「いいに決まってる」
スルリと前髪を上げられる。剥き出しになった額に軽いキスをされた。
胸がトクンと鳴って、俺はたまらない気持ちになる。
「鷹宮」
「ん?」
「こっちも」
俺は少し顔を離して、鷹宮の頬に触れる。
鷹宮の唇を俺の唇でそっと塞いだ。
キスに応えてくれる鷹宮に、腰を引き寄せられる。
すると俺はいつのまにか鷹宮の膝の上に座っていた。
「鷹宮とピッタリくっつけるな」
「そうだろ?」
満足げに笑う鷹宮がかわいく見えて、俺はどうしようもなく口元が緩む。
鷹宮はそんな俺の頬をそっと撫でた。
「なぁ雲雀野」
「なんだ?」
「どうして俺を好きになってくれたんだ?」
切なく揺れる瞳が綺麗で、俺は息を呑んだ。
(お前も、そういうこと聞くんだな)
好かれる要素しかないのに、疑問に思ってるなんてな。
ここで応えられないと、不安になっちゃうよな。
でも困ったなぁ。
好きになった理由って、一つじゃないから難しい。
(ああ、でもそうか)
きっかけだけはハッキリしてるんだ。
俺の心からの笑顔が、鷹宮の綺麗な瞳に映し出された。
「鷹宮が俺を選んでくれたからだよ」
雨音が全ての音を遮断してくれる教室で。
俺たちは、選び合った大好きな人とキスをする。
俺が部活の個人練習で使ってるお気に入り。
鷹宮が、俺の声を見つけてくれた場所だ。
雨音の激しい窓際で、俺たちは横並びに座る。
弁当を広げていると、鷹宮が俺の顔を覗き込んできた。
「雲雀野、聞いてほしいことって何だ?」
「あっ……あのな」
そうだ。
実はずっと……土曜日から言いたくて、タイミングを見計らってたことがあるんだ。
俺はムズムズする口をようやく開くことができた。
「夏休みに、合唱部が市のチャリティーコンサートに参加することになってさ」
「そういえば、募金箱を持つボランティアの募集してたな」
「そうそう、それ。で、俺……」
口に出すだけでも緊張する。
俺は水筒のお茶を飲んで、乾いた口を潤した。
それから改めて鷹宮を真っ直ぐ見つめる。
「そこで、ソロを一つ任されたんだよ」
「そのチャリティーコンサート、夏休みのいつやるんだ?」
「え?」
想定外の淡々とした鷹宮の声に、俺は戸惑った。
「な、何日だったかな……お盆明けだったはず」
「聞きに行く」
弁当はそっちのけで、鷹宮はスマホの電源を入れた。スケジュール管理用のアプリを起動してるのが、チラッと見える。
「鷹宮、夏休みはほぼ毎日部活だろ」
「なんとかする」
「……いいのか?」
「ああ。俺はこう見えて、雲雀野より喜んでるから」
そう言った鷹宮は、ようやく表情が和らいだ。
こっちを向いて、大きな手で俺の頭を撫でてくれる。
「おめでとう」
「……っ、ありがとう」
優しくて、あったかくて、心地いい。
「やっぱり、直接言ってよかった」
手も声も表情も香りも、鷹宮を構成するもの全てが好きだ。
通話やメッセージじゃ、この幸せは味わえない。
遠慮なく手に擦り寄っていると、鷹宮の声が甘くなる。
「雲雀野は本当にかわいいな」
「いいだろ? 頭撫でてもらったり、お前の笑顔を見たりしながら褒めてほしいんだ」
「いいに決まってる」
スルリと前髪を上げられる。剥き出しになった額に軽いキスをされた。
胸がトクンと鳴って、俺はたまらない気持ちになる。
「鷹宮」
「ん?」
「こっちも」
俺は少し顔を離して、鷹宮の頬に触れる。
鷹宮の唇を俺の唇でそっと塞いだ。
キスに応えてくれる鷹宮に、腰を引き寄せられる。
すると俺はいつのまにか鷹宮の膝の上に座っていた。
「鷹宮とピッタリくっつけるな」
「そうだろ?」
満足げに笑う鷹宮がかわいく見えて、俺はどうしようもなく口元が緩む。
鷹宮はそんな俺の頬をそっと撫でた。
「なぁ雲雀野」
「なんだ?」
「どうして俺を好きになってくれたんだ?」
切なく揺れる瞳が綺麗で、俺は息を呑んだ。
(お前も、そういうこと聞くんだな)
好かれる要素しかないのに、疑問に思ってるなんてな。
ここで応えられないと、不安になっちゃうよな。
でも困ったなぁ。
好きになった理由って、一つじゃないから難しい。
(ああ、でもそうか)
きっかけだけはハッキリしてるんだ。
俺の心からの笑顔が、鷹宮の綺麗な瞳に映し出された。
「鷹宮が俺を選んでくれたからだよ」
雨音が全ての音を遮断してくれる教室で。
俺たちは、選び合った大好きな人とキスをする。



