異世界で冒険を! 昭和時代でスローライフを! オレたちの世界交換ファンタジア!

 稲刈りが終われば、オレたちの結婚が進められた。

 まあ、オレが進めるわけではないので、結婚式が行われるまで学さんから剣を教えてもらった。

 ……この人、本人に強すぎ……。

 まったく勝てない。いや、勝てないのはわかっている。おれに技術がないから翻弄されるばかりだ。

「よし、それまでだ」

 学さんの言葉に地面に崩れた。

「成長したな」

 そうだろうか? 日に日に学さんが遠くなって行くように思えるんだがな。

「はい」

 宏子さんから手拭いをもらい、顔を拭いた。

「体力も去ることながら回復も早くなったな」

「それは治癒の指輪のお陰ですね。三月が言うにはおれの体に合ってきたようです」

「魔法か。この身で体験しなければ一笑に付しているところだな」

「学さんは、三月の強さがわかるんですか?」

「あれは羊の皮を被ったバケモノだ。わしなど足元にも及ばんよ」

「あいつはバケモノ。真のバケモノ」

 なにか三月にされたのか、三月を完全に警戒している。

「ふふ。上には上がいるといういい見本だな。三月くんを敵にしないようにしょう」

 オレには笑顔しか見せないから勘違いしそうだが、その裏にはいろいろあるんだろうな~。

「午後は二人で出掛けてくるといい」

 もっと教えて欲しかったが、二人の時間も大切にしろと怒られてしまった。

 風呂に入り、シャツとズボンに着替えた。

 宏子さんは、ワンピースだ。

「すっかり今風に慣れましたね」

 手斧や剣は収納の指輪の中に入っているがな。

「似合わない?」

「似合ってますよ。ただ、昔の姿もなんだか味わい深いものがあったな~と思いまして」

 最初見たときは驚いたものだが、慣れた今からすると、あれはあれでよかったんじゃないかと思えてしまうこの不思議。なんだろう、この気持ちは?

「着物姿が好みなんですか?」

「んーどうなんでしょう? 宏子さんは綺麗ですからなにを着ても似合っていますよ」

 そう言ったらくるりと背中を見せられた。な、なに?

「え、えーと、どこに行きましょうか? デートってしたことないもので」

 三月からも宏子さんとデートをしろと言われている。てか、そもそもデートがなんなのかわからない。男女で出掛けたらデートになるのか? それでいいものなのか?

「わたしもしたことない」

 ふふ。そりゃそうだ。あの姿でデートしていたら取り憑かれているとしか思えないよ。

「じゃあ、仙台に行ってみますか。美味しいものでも食べましょう」

 動いたから腹も減った。食事なら宏子さんも喜ぶだろうよ。

 転移の指輪で仙台駅へ。認識阻害のお陰で誰に知られることなく転移出来た。

「……凄い人の数……」

 山形も負けてはいないと思うが、お洒落な人が多いな。

 三月は着物を着ている人に驚いていたっけ。六十年先を生きた者からしたら古くさく見えるんだろうよ。

 定治から食べるところは聞いてたとは言え、こうして人の多さや建物の高さに怖じ気づいてしまう。自分が田舎者だと実感させられるよ。

「屋台」

 宏子さんが見る方向に屋台が並んでいた。

「中華ソバか。ちょっと食べてみますか」

 地方地方でいろんな味があると聞く。味比べもいいものだろう。

「うん」

 宏子さんも興味津々なので屋台に入り、中華ソバをお願いした。

 三月のように味に執着はない。美味いか普通か食えるかだ。

 これは美味い。なんか美味い。芸術的な味だ。

 あっと言う間に完食。宏子さんは汁も残さず完食していた。

「胃のエンジンは掛かりましたか?」

「まだ。ガツンとしたものが食べたい」

 ガツンとしたものか。なんだ? なにがガツンと来るんだ?

「じゃあ、他の屋台も回ってガツンとしたものを探しましょうか」

 ガツンとしたものが思い浮かばなかったから屋台を回って探すとする。あ、たこ焼きだ! 仙台でもたこ焼きって売っているものなんだな~。

 久しぶりに見て、ちょっと食べたくなった。

「なにあれ?」

 宏子さんはたこ焼きを知らないようだ。

「たこ焼きですよ。熱々ふーふーな食べ物です」

「食べたい」

 ってことなので、おじさんに作り置きのを買った。