異世界で冒険を! 昭和時代でスローライフを! オレたちの世界交換ファンタジア!

 稲刈りは続くよどこまでも──ってことはなく、大村家の畑は二日と半日で終わってしまった。

 こうなることは純の友達もわかっていたようで、ご近所にも声を掛けていたようだ。

 オレに異存なし。しずかさんもまだ時間があったので、食事の用意をお願いした。

 八日でご近所さんの稲刈りを終えた。オレとしてはさらに広げてもよかったのだが、集落には集落の決まりやら付き合いがあったりするとかで、純の友達の集落だけになってしまい、乾燥や脱穀は家族でやるそうだ。

「なんか、あっと言う間だったな~」

「だろうな! お前があっと言う間に終わらせたんだから!」

「なんで怒ってんだよ?」

 もっと宏子さんといたかったのか? このリア充め。

「非常識だからだよ。んで、どうするんだ? 帰るのか?」

「そうだな。仕事がないんなら帰るよ。しずかさん、送ります」

 手伝いの間、しずかさんは実家に泊まり、娘ちゃんとここに来ていた。

 あまり絡むことはなかったが、陸王(サイドカーを付けました)で送り迎えしているので、おじちゃんとは言われるようにはなったよ。

 ……確かにおじちゃんではあるが、ちょっと傷付くのはなんでだろうな……?

「純たちもしずかさんのところで食べて行くか?」

 二人は大村家で夕食を済ませてから山形の能己家に泊まっていた。あの家、広いから。

「そうだな。お前が美味いって言っているコーヒー飲んでみたいしな」

 県庁で働いていたからか、コーヒーはよく飲んでいたそうだ。近くに喫茶店があったんだってさ。

「じゃあ、行くとしよう」

 しずかさんもオレらが転移が出来ることを知っている。てか、面倒だから転移の指輪を渡したよ。娘ちゃんに毎日会えるようにな。

 オレはしずかさんと娘ちゃんと。純は宏子さんと、おかだ食堂に転移した。

 しずかさん母娘を送り届けたら食堂で夕飯をいただいていた。八日も続くと、帰って来る頃には準備は出来ており、畳席で皆でいただくとする。

 人数が増えても旦那さんとおにーさんは慣れたもの。慌てることなく料理を作ってくれた。

「うめー! 焼きそばうめー!」

 戦後、一般的に食べられるようになったとか。食文化はよくわかんねー!

「お前、食べすぎだよ」

「美味いものならいくらでも入る。宏子さん、食べているか?」

 って、愚問だった。トンカツを黙々と食べていたよ。

「タルタルソースがあったら最高なんだがな~」

 唐揚げはある。だが、タルタルソースはなかった。いつになったら世に出て来るんだ?

「なんですか、タルタルソースって?」

 隣のしずかさんが尋ねてきた。

「卵と玉ねぎを刻んでマヨネーズで混ぜたもの、だったかな?」

 ごめん。そのくらいの知識しかございません。

「簡単なんですね。ちょっと作って来ます」

 しずかさんが席を立ち、厨房に消えて、五分くらいで作って来てくれた。そんな簡単ものなの!?

「……タルタルソースっぽい……」

 てか、もうタルタルソースがどんな姿をしていたかも忘れかけている。

「味はよかったですよ」

 まずはタルタルソースだけを食べてみる。美味しい。だが、こんな味だったっけか? もっとネチョネチョしていたような?

 いや、これはこれで美味いのだから唐揚げに付けて食べた。

「くぅ~! うめー!」

 懐かしい味。美味さとともに平成の世が思い出された。

「そうだ。レモンだか酢てかが入ってて、粗挽き胡椒も入ってたかも」

「確かに、酸味があったほうがいいですね。粗挽き胡椒はないので、普通の胡椒を掛けてみましょう」

 酢と胡椒を持って来て、タルタルソースに掛けて混ぜ、味見をした。

「うん。さらによくなりました」

 また唐揚げに掛けて食べたら涙が出た。こ、これだ。これがタルタルソースだ。

「へー。美味いな。宏子さん、落ち着いて」

 フォークで唐揚げを刺し、タルタルソースをたっぷりつけて口に突っ込んでいた。意外とワイルドですこと。

「おかーちゃん、これ美味しいよ! もっと食べたい!」

 娘ちゃんも気に入ったようだ。どんどん食いねー。

「はいはい。もっと作ってくるわね」

 しずかさんがまた席を立ち、厨房へ入ってたくさんタルタルソースを作ってくれた。好きぃ~!