今日も朝練があるので早くから学校へ向かう。
うちの高校は強豪ほどではないが、いい選手は揃っているため試合になってもそこそこの成績をいつも残している。
その中で二年生セッターというのは珍しい、だが先輩達からの人望もあるため問題なく過ごせている。
「あっつい…」
段々と夏に差し掛かる太陽にうだうだとしてしまう。
と、そんなところに名前を呼ばれた。
「センパイ〜!紀春センパイ!」
声の主を探しキョロキョロとしていると、公園前で何故か桃太が手を振っていた。
「は?何してんだ?」
「センパイのこと待ってました!」
「待ってたっていつから…」
「うーん、一時間くらい前、かな?」
「おっまえ…、ほら、飲み物奢ってやるから行くぞ。もう、熱中症にでもなったらどうするんだよ…」
「はは、ごめんなさーい」
昨日の夜みたく、また二人でバス停へと向かっていく。
「センパイ、僕気付いたんです!」
「? 何に気付いたんだ?」
「僕、センパイのこと気になってます。あ、恋って意味で!恋ですよ、恋。ラーブ!」
胸の前でハートを作りながらとんでもないことを言い出す桃太に唖然としてしまう。
「き、気になる…はまあ分かったけど、恋って…、俺達の間でそんなことになること何も無かっただろ…?」
「だと思うじゃないですか〜?僕センパイの練習姿見た時にキューンって心奪われちゃったんですよね」
「は…、え…?」
「最初はちっちゃいセンパイだなあって思ってたんですけど、そのセンパイのバレーしてる姿にときめいちゃって…、だから昨日も思わず手繋いじゃったというか…?」
「悪口言われてるのか褒められてるのか分からないけど、まあ褒めてくれてると受け取るとして…、だから急にぎゅーとか言いながら手繋いだのか」
「そうです!なんか、触れたいなって思っちゃって。急にあんなことしてごめんなさい」
そういいながら頭を下げてくる桃太を見たら、まあ俺もときめいちゃった部分はあるし…とモゴモゴしながら大丈夫、そう伝えた。
「許してくれるんですか!?じゃあじゃあ、また見学行ったり帰りに手繋いだりしてもいいですか?」
「け、見学はまあ大丈夫だけどなんでまた手繋ぐんだよ…」
「センパイを僕の人にしたいからです!覚悟、しててくださいね?」
一気に熱くなった顔を見られたくなくて反対を向くことしか出来なかった。
「センパイ? セーンパイ!こっち向いてくださいよ」
「いや、俺は…、その…」
「もう!なんですか〜!イチャイチャしましょうよ?」
「い、イチャイチャって…、うわー!桃太距離近い!」
「センパーイ!」
急に近付いてくる桃太にアタフタする俺に桃太はとても楽しそうにしていた。
