見上げる恋


次は梅の坂〜、梅の坂〜

「あ、俺次で降りるけど桃太は?」
「僕も梅の坂です、え?もしかして本当に近所だったりします?」
「どうだろう、俺は梅の木公園がある近くなんだけど…」
「うそ!?僕も公園の近くですよ!」
「まじ?じゃあ本当に近所かもな」
「なんで今までセンパイと出会わなかったんだろう〜」
「そりゃ通学時間とか違ってるからだろ」
「あ、そっか。センパイ朝練とかありますもんね」
「そうそう、だから会わなくてもおかしくはないだろ」
「確かに〜」

なんてやり取りをしていたら、目的地の梅の坂に着いた。

「ありがとうございました!」
「あ、ありがとうございました〜」

バスから降り、ここからは徒歩で自宅まで向かう。

「本当に方向まで同じですね?」
「だな、この時間もう暗いから一人で帰るの怖いんだよな」
「え?そうなんですか?」
「実は前に部活帰り補導されかけたことがあってさ」
「ええ?なんて言って開放されたんですか?」
「はは、解放って。普通に今部活帰りですって学生証見せたよ、そしたら遅くまでお疲れ様って帰してもらえた。気を付けてねって」
「優しいお巡りさんで良かったですねえ」

梅の木公園前に着くと桃太が、あ、と言う。

「僕公園突っ切った先のあの住宅街なんですけど、センパイは?どの辺ですか?」
「俺はこの道真っ直ぐ行った先の住宅街、近所だけどちょっと違うんだな」
「ですね、またセンパイが補導されないように僕が送ってあげますね」
「いいよ、てかされないから!次は桃太がされたらどうするんだよ」
「それは確かに?」
「ほら、帰るぞ」
「あ!待って待って、センパイ!手、出してください」
「手?」
「はい、またねのぎゅー!」

何故か握手する羽目になった俺は目が点になる。

満足したのか、パッと離しまたね〜!そう言いながら遠ざかっていく桃太を眺めることしか出来なかった。

「び…っくりした。え?手繋いだ、よな?なんだよ、ぎゅーって可愛すぎるだろ、アアアア…」

叫び出したくなる声にならない声を上げながら帰宅することになった。


一方、桃太は――

「センパイと手繋いじゃった!んふふ、センパイの手小さかったなあ、また繋げるかな?」

なんてことを思いながら足取り軽く帰宅したのであった。