ケガをして引退したはずの僕を元ライバルはまだ諦めてくれない

 金曜日の放課後。
 下校時の生徒たちの騒めきが浮かれてて、それにつられ僕も少し寄り道しようかなって、早足に正門へ向かう。

 ピッ――

 笛の音が聞こえた方に、無意識に顔が向く。
 少し離れたグラウンドを目にし、立ち止まった。
 そして、気づけばそちらに足が向いていた。
 
 前となにも変わらない日常がフェンスの向こうにあった。

 だらだらと歩いてスタートラインについたかと思えば、スイッチが入ったように飛び出し全速する。

「かっこいいなぁ」

 その場所に自分がいない違和感がよぎった。

 あのとき——
 土屋が「マネージャーして」と言ったあのとき。
 素直になってたら、僕はあの場所にいたのかな?