ケガをして引退したはずの僕を元ライバルはまだ諦めてくれない

 玄関を開けると吐く息が白くなって、ぐっとマフラーに顔を埋めた。

 ふと朝練の真っ暗な空を思い出した。
 冬の朝練は地獄だったな。
 暗いし、寒いし。

 ちらりと土屋の顔が浮かぶ。

 そういえば数日だったけど一緒に登校したな。
 あの時は、いつも一緒にいた気がする。
 ほんの1、2か月前のことなのに、記憶が曖昧だ。

「部活辞めると、会わないもんだな」

 もう一度しっかりマフラーで口元を隠して駅に向かった。