ケガをして引退したはずの僕を元ライバルはまだ諦めてくれない

「水城と帰るとか、初めてだよな」

 帰宅部の前田がポテトを頬張る。

「僕も帰宅部になったからな」

 平日のまだ日の差す時間に、まったりとハンバーガーに食らいつけるなんて、夢みたい。
 土日でさえ、こんなにゆったりと暇を持て余すことなんてなかったから、すべてが新鮮だ。

「未練はないの?」
「んん。ないね」

 脳裏にフェンスにもたれて見た部活の風景がよぎる。
 懐かしいと思うには最近過ぎるけど、かなり遠い昔に感じる。

「それよりさ」

 コーラで喉を刺激して、前のめりになる。

「この前言ってたショップ連れてってよ」
「いいよ。これ食べたらな」

 帰宅部ってなにしてんだって思ってたけど、なんだかんだ、ちょっと楽しい。