第3話 「へ……?」
〇黄龍家の屋敷から少し離れた、人のいない場所。
かぐよのお尻から、ぷぅぅうう、と音が鳴る。
嵐永「へ……?」
あっけにとられたような表情の嵐永。
そのすぐそばで、ピタッ、と巨大な妖魔の動きが止まる。
かぐよ「核を斬って!」
その声にハッとした嵐永が、剣を振る。
妖魔が倒れ姿を消し、握りこぶしくらいの黒い核が半分に切れたものだけが残された。
嵐永「かぐよ殿、今のは……」
嵐永(おなら、だよな……?)
かぐよ「……はしたなくて、ごめんあそばせ……」
両手を口に当て、頬を赤く染めて先ほどよりも涙目になっているかぐよ。
普段は凛々しいかぐよが見せた初めての表情に、嵐永の胸がドキッと音を立てる。
思わずかぐよの事を、ムギュ、と抱きしめる嵐永。
嵐永「泣いてもいいが、泣き顔を他人に見せるな」
嵐永(こんなに可愛いかぐよ殿を、他の男に見せるわけにいかない……)
かぐよ「嵐永様……?」
嵐永「何も言わなくていい。俺、何も聞いてないから」
いいえ、と言いながらかぐよは嵐永の胸から顔を上げる。
かぐよ「聞いてくださいませ。あ、おならの事ではなくて……いえ、やっぱりおならの事で……」
あのっそのっ、と大慌てでアタフタしている。
嵐永(かぐよ殿、可愛すぎだ……)
嵐永は油断すると緩んでしまいそうな自分の表情を隠すように片手で顔を覆い、ハァァ、と息を吐いた。
かぐよ(大きなため息……)
悲しそうな顔になるかぐよ。
かぐよ「おならの話をする女なんて、呆れてしまいますわよね」
嵐永「いや、呆れてなどいない。かぐよ殿が可愛すぎて困っているだけだ」
かぐよ「かわ……っ」
かぐよ(嵐永様は遊郭に足繫く通っていると噂だから、女性の扱いになれているのだわ)
かぐよ「からかわないでくださいませ」
嵐永「からかってなどいないのだが……。すまない、どうか話の続きをしてくれないか」
嵐永の耳と尻尾がショボンと垂れる。
かぐよ(これは本気で私の話を聞きたいと思ってくださっているみたい……)
意を決して話し始めるかぐよ。
かぐよ「私がおならをすると驚くのか、少しの間だけ妖魔が動きを止めるんですの」
嵐永「妖魔が動きを……?」
かぐよ「こんな話、信じていただけないと思いますが……。これが三年前に出現した私の異能、ですわ」
嵐永は納得できないような表情をしている。
嵐永「妖魔の動きを止めるなんて異能は凄すぎる。無能だなんて言われることもなかっただろうに、なぜ今まで隠していたんだ」
かぐよは小さくため息をついた。
かぐよ「私の父は、権力のためには実の娘でも利用するでしょう」
父に命じられ妖魔が現れるたびにプープーそこら中でおならをさせられるかぐよのデフォルメ。
かぐよ「私だって好き好んで人前でおならなんてしたくないですわ……」
嵐永「なるほど……」
嵐永は納得したように苦笑い。
嵐永「兄上にも話していないのか?」
かぐよ「弘蓮様にも話しておりません」
嵐永「兄上はかぐよ殿の許婚だ。秘密を守り力になってくれるのでは?」
かぐよは弘蓮と桃華のキスシーンを思い出して、暗い表情になる。
かぐよ「弘蓮様は私との婚約を破棄されるそうです。桃華と恋仲なんですって」
ビンッ、と怒りを表すように嵐永の耳と尻尾が逆立つ。
嵐永「なんだと……?」
かぐよ「仕方ないんです。桃華と違って私は男性に好かれるような可愛げもありませんし」
かぐよの頬をそっと包むように嵐永が手を添える。
嵐永「かぐよ殿は、可愛げの塊ではないか」
かぐよ「へ……?」
ボンッとかぐよの頬が赤くなる。
かぐよ(やっぱり嵐永様、女性の扱いに長けていらっしゃるわ)
嵐永「決めた。貴女の秘密を俺に守らせてくれ」
かぐよ「嵐永さまに……?」
あっけにとられている表情のかぐよの前に跪いて、そっと手をとる嵐永。
嵐永「ああ。だから俺と結婚しよう、かぐよ殿」
かぐよ「へ……?」
かぐよは目を見開き驚いている。
〇黄龍家の屋敷から少し離れた、人のいない場所。
かぐよのお尻から、ぷぅぅうう、と音が鳴る。
嵐永「へ……?」
あっけにとられたような表情の嵐永。
そのすぐそばで、ピタッ、と巨大な妖魔の動きが止まる。
かぐよ「核を斬って!」
その声にハッとした嵐永が、剣を振る。
妖魔が倒れ姿を消し、握りこぶしくらいの黒い核が半分に切れたものだけが残された。
嵐永「かぐよ殿、今のは……」
嵐永(おなら、だよな……?)
かぐよ「……はしたなくて、ごめんあそばせ……」
両手を口に当て、頬を赤く染めて先ほどよりも涙目になっているかぐよ。
普段は凛々しいかぐよが見せた初めての表情に、嵐永の胸がドキッと音を立てる。
思わずかぐよの事を、ムギュ、と抱きしめる嵐永。
嵐永「泣いてもいいが、泣き顔を他人に見せるな」
嵐永(こんなに可愛いかぐよ殿を、他の男に見せるわけにいかない……)
かぐよ「嵐永様……?」
嵐永「何も言わなくていい。俺、何も聞いてないから」
いいえ、と言いながらかぐよは嵐永の胸から顔を上げる。
かぐよ「聞いてくださいませ。あ、おならの事ではなくて……いえ、やっぱりおならの事で……」
あのっそのっ、と大慌てでアタフタしている。
嵐永(かぐよ殿、可愛すぎだ……)
嵐永は油断すると緩んでしまいそうな自分の表情を隠すように片手で顔を覆い、ハァァ、と息を吐いた。
かぐよ(大きなため息……)
悲しそうな顔になるかぐよ。
かぐよ「おならの話をする女なんて、呆れてしまいますわよね」
嵐永「いや、呆れてなどいない。かぐよ殿が可愛すぎて困っているだけだ」
かぐよ「かわ……っ」
かぐよ(嵐永様は遊郭に足繫く通っていると噂だから、女性の扱いになれているのだわ)
かぐよ「からかわないでくださいませ」
嵐永「からかってなどいないのだが……。すまない、どうか話の続きをしてくれないか」
嵐永の耳と尻尾がショボンと垂れる。
かぐよ(これは本気で私の話を聞きたいと思ってくださっているみたい……)
意を決して話し始めるかぐよ。
かぐよ「私がおならをすると驚くのか、少しの間だけ妖魔が動きを止めるんですの」
嵐永「妖魔が動きを……?」
かぐよ「こんな話、信じていただけないと思いますが……。これが三年前に出現した私の異能、ですわ」
嵐永は納得できないような表情をしている。
嵐永「妖魔の動きを止めるなんて異能は凄すぎる。無能だなんて言われることもなかっただろうに、なぜ今まで隠していたんだ」
かぐよは小さくため息をついた。
かぐよ「私の父は、権力のためには実の娘でも利用するでしょう」
父に命じられ妖魔が現れるたびにプープーそこら中でおならをさせられるかぐよのデフォルメ。
かぐよ「私だって好き好んで人前でおならなんてしたくないですわ……」
嵐永「なるほど……」
嵐永は納得したように苦笑い。
嵐永「兄上にも話していないのか?」
かぐよ「弘蓮様にも話しておりません」
嵐永「兄上はかぐよ殿の許婚だ。秘密を守り力になってくれるのでは?」
かぐよは弘蓮と桃華のキスシーンを思い出して、暗い表情になる。
かぐよ「弘蓮様は私との婚約を破棄されるそうです。桃華と恋仲なんですって」
ビンッ、と怒りを表すように嵐永の耳と尻尾が逆立つ。
嵐永「なんだと……?」
かぐよ「仕方ないんです。桃華と違って私は男性に好かれるような可愛げもありませんし」
かぐよの頬をそっと包むように嵐永が手を添える。
嵐永「かぐよ殿は、可愛げの塊ではないか」
かぐよ「へ……?」
ボンッとかぐよの頬が赤くなる。
かぐよ(やっぱり嵐永様、女性の扱いに長けていらっしゃるわ)
嵐永「決めた。貴女の秘密を俺に守らせてくれ」
かぐよ「嵐永さまに……?」
あっけにとられている表情のかぐよの前に跪いて、そっと手をとる嵐永。
嵐永「ああ。だから俺と結婚しよう、かぐよ殿」
かぐよ「へ……?」
かぐよは目を見開き驚いている。

