第1話 ごめんあそばせ
〇オープニング
狼の耳と尻尾を持つ金髪赤目の眉目秀麗な男性――黄龍嵐永(きりゅうらんえい)に対して、やっかむような陰口が多数。
「嵐永殿はまた遊郭から朝帰りか」
「遊ぶ金はどうしてるんだ。黄龍家の次男だからって、妾の子が使える金は無いだろう」
「金は皇都の女に貢がせてるって噂だぜ」
「いいよなぁ色男は」
「優秀な退魔師の家系である黄龍家の名を汚しおって」
「クズ半獣が」
嵐永は軍服のような退魔師の格好で帯刀しているが制服の釦は外して着崩し、何かを諦めたように小さな笑みを浮かべていた。そんな憂いの表情でも秀麗で、色気を醸している。
一方、長い黒髪を高い位置でひとつにきっちりとまとめて結わえている女性――朱雀夜(すざくや)かぐよに対しても、やっかむような陰口が多数。
「またかぐよ様は退魔師の真似事をしているのか」
「女のくせに誰よりも多く妖魔を倒して、生意気なんだよ」
「本来なら朱雀夜家の巫女はその力で退魔師を支えるべきなのに、無能だからなぁ」
「自分が姫巫女になれないからって、妹の桃華(ももか)様を虐めているらしいぜ」
「黄龍家の弘蓮(こうれん)殿も、あんなじゃじゃ馬が許嫁(いいなずけ)でかわいそうになぁ」
かぐよは巫女服を着て帯刀しており、黒い瞳が大きくて愛らしいがキリッとした隙のない表情。
〇護国(ごこく)の里の鍛練場(屋外、昼間)
ドサッと尻もちをつくモブ退魔師の男性。
モブ退魔師「くっ」
スッと模擬刀を構える巫女服姿のかぐよ。
慌てたようにモブ退魔師が「ま、まいった。ここまでだ」と手で制する。
モブ退魔師「くそっ、女のくせに男よりも乱暴で恥ずかしくないのか」
かぐよは冷めた感じに、フッと小さく笑う。
かぐよ「手加減できなくて、ごめんあそばせ」
困ったような笑みを浮かべて黒髪黒目の男性――黄龍家嫡男の弘蓮が登場。
弘蓮「かぐよ」
かぐよ「弘蓮様」
弘蓮「貴女は巫女の仕事だけしてくれればいいのだよ」
かぐよ「退魔師として、皆様の力になりたいのです」
モブ退魔師が「巫女としては何もできないからな」と言ってクククと笑う。
モノ『優秀な退魔師の家系である黄龍家の嫡男、弘蓮様は私の許婚だ』
モノ『私が生まれるより先に……無能であることが分かる前に親同士で決められた結婚相手』
モノ『朱雀夜家は優れた巫女が生まれることが多いため結ばれた縁……だけど私は10歳までに発現するはずの異能が現れない、無能だった』
わっ、と場が華やぐ。
緩やかなクセのある髪をふんわりと綺麗に巻いた栗色の髪の女性――朱雀夜桃華(すざくやももか)が華やかな着物を着て登場。
桃華「こんにちは。鍛錬お疲れ様です」
桃華が微笑むと、数名のモブ退魔師が頬を染める。
桃華「桃華は皆様のことを応援しています」
桃華が目をつむり胸の前で手をあわせ祈ると、色鮮やかなたくさんの花が出現した。
モブ退魔師たちの目が輝く。
モブ退魔師1「やはり姫巫女様の異能は凄いなぁ」
モブ退魔師2「桃香様の花を見ると、力が湧いてくるよ」
モブ退魔師3「無能の巫女とは大違いだ」
モブ退魔師は喜んで、桃華が出現させた花を退魔師の制服の胸ポケットにさした。
モノ『大倭皇国(おおやまとこうこく)の皇都から鬼門の方角に位置し、皇都へ妖魔が侵入するのをできる限り防ぐのが、この護国の里に課せられた使命だ』
モノ『そんな護国の里で退魔師の力を増幅することができる異能を持つ巫女は、特別に姫巫女と呼ばれ敬われている』
モノ『私の義妹、桃華が祈ることで出現する花は、退魔師の力を増幅することができた』
笑顔の桃華がバラの花を手にかぐよの方へ近づく。
桃華「お姉様にはこちらの花を」
かぐよ「っ」
手に痛みが走り、かぐよは僅かに顔を歪める。
他の人からは見えないように、桃華がかぐよの手にバラの花の棘を刺していた。
モブ退魔師1「優しいよなぁ、桃華様」
モブ退魔師2「それに対して見てみろよあの顔。無能の姉は桃華様の力に嫉妬してるぜ」
〇黄龍家の屋敷内
弘蓮の部屋の前の廊下をひとりで歩くかぐよ
(話があるって……弘蓮様の部屋を訪れるのなんて初めてだわ)
ピタ、と足を止めるかぐよ。
弘蓮の部屋の襖が少し開いており、廊下に花がいくつか落ちている。
嫌な予感がしながらも、かぐよは襖の隙間から部屋の中を見てしまった。
たくさんの花に囲まれて、弘蓮と桃華が抱き合い口づけている。
桃華がかぐよに気づく。桃華は勝ち誇ったような笑み。
〇オープニング
狼の耳と尻尾を持つ金髪赤目の眉目秀麗な男性――黄龍嵐永(きりゅうらんえい)に対して、やっかむような陰口が多数。
「嵐永殿はまた遊郭から朝帰りか」
「遊ぶ金はどうしてるんだ。黄龍家の次男だからって、妾の子が使える金は無いだろう」
「金は皇都の女に貢がせてるって噂だぜ」
「いいよなぁ色男は」
「優秀な退魔師の家系である黄龍家の名を汚しおって」
「クズ半獣が」
嵐永は軍服のような退魔師の格好で帯刀しているが制服の釦は外して着崩し、何かを諦めたように小さな笑みを浮かべていた。そんな憂いの表情でも秀麗で、色気を醸している。
一方、長い黒髪を高い位置でひとつにきっちりとまとめて結わえている女性――朱雀夜(すざくや)かぐよに対しても、やっかむような陰口が多数。
「またかぐよ様は退魔師の真似事をしているのか」
「女のくせに誰よりも多く妖魔を倒して、生意気なんだよ」
「本来なら朱雀夜家の巫女はその力で退魔師を支えるべきなのに、無能だからなぁ」
「自分が姫巫女になれないからって、妹の桃華(ももか)様を虐めているらしいぜ」
「黄龍家の弘蓮(こうれん)殿も、あんなじゃじゃ馬が許嫁(いいなずけ)でかわいそうになぁ」
かぐよは巫女服を着て帯刀しており、黒い瞳が大きくて愛らしいがキリッとした隙のない表情。
〇護国(ごこく)の里の鍛練場(屋外、昼間)
ドサッと尻もちをつくモブ退魔師の男性。
モブ退魔師「くっ」
スッと模擬刀を構える巫女服姿のかぐよ。
慌てたようにモブ退魔師が「ま、まいった。ここまでだ」と手で制する。
モブ退魔師「くそっ、女のくせに男よりも乱暴で恥ずかしくないのか」
かぐよは冷めた感じに、フッと小さく笑う。
かぐよ「手加減できなくて、ごめんあそばせ」
困ったような笑みを浮かべて黒髪黒目の男性――黄龍家嫡男の弘蓮が登場。
弘蓮「かぐよ」
かぐよ「弘蓮様」
弘蓮「貴女は巫女の仕事だけしてくれればいいのだよ」
かぐよ「退魔師として、皆様の力になりたいのです」
モブ退魔師が「巫女としては何もできないからな」と言ってクククと笑う。
モノ『優秀な退魔師の家系である黄龍家の嫡男、弘蓮様は私の許婚だ』
モノ『私が生まれるより先に……無能であることが分かる前に親同士で決められた結婚相手』
モノ『朱雀夜家は優れた巫女が生まれることが多いため結ばれた縁……だけど私は10歳までに発現するはずの異能が現れない、無能だった』
わっ、と場が華やぐ。
緩やかなクセのある髪をふんわりと綺麗に巻いた栗色の髪の女性――朱雀夜桃華(すざくやももか)が華やかな着物を着て登場。
桃華「こんにちは。鍛錬お疲れ様です」
桃華が微笑むと、数名のモブ退魔師が頬を染める。
桃華「桃華は皆様のことを応援しています」
桃華が目をつむり胸の前で手をあわせ祈ると、色鮮やかなたくさんの花が出現した。
モブ退魔師たちの目が輝く。
モブ退魔師1「やはり姫巫女様の異能は凄いなぁ」
モブ退魔師2「桃香様の花を見ると、力が湧いてくるよ」
モブ退魔師3「無能の巫女とは大違いだ」
モブ退魔師は喜んで、桃華が出現させた花を退魔師の制服の胸ポケットにさした。
モノ『大倭皇国(おおやまとこうこく)の皇都から鬼門の方角に位置し、皇都へ妖魔が侵入するのをできる限り防ぐのが、この護国の里に課せられた使命だ』
モノ『そんな護国の里で退魔師の力を増幅することができる異能を持つ巫女は、特別に姫巫女と呼ばれ敬われている』
モノ『私の義妹、桃華が祈ることで出現する花は、退魔師の力を増幅することができた』
笑顔の桃華がバラの花を手にかぐよの方へ近づく。
桃華「お姉様にはこちらの花を」
かぐよ「っ」
手に痛みが走り、かぐよは僅かに顔を歪める。
他の人からは見えないように、桃華がかぐよの手にバラの花の棘を刺していた。
モブ退魔師1「優しいよなぁ、桃華様」
モブ退魔師2「それに対して見てみろよあの顔。無能の姉は桃華様の力に嫉妬してるぜ」
〇黄龍家の屋敷内
弘蓮の部屋の前の廊下をひとりで歩くかぐよ
(話があるって……弘蓮様の部屋を訪れるのなんて初めてだわ)
ピタ、と足を止めるかぐよ。
弘蓮の部屋の襖が少し開いており、廊下に花がいくつか落ちている。
嫌な予感がしながらも、かぐよは襖の隙間から部屋の中を見てしまった。
たくさんの花に囲まれて、弘蓮と桃華が抱き合い口づけている。
桃華がかぐよに気づく。桃華は勝ち誇ったような笑み。

