僕らのノイズ ※最後の願いは、よく考えたうえで送信してください。

(そういえば、帰りの電車で見つけたあのサイト、よくわからなくて怪しいからとすぐ閉じてしまったけれど……)

 私は、スマホの履歴を辿り、さっきのサイトに再びアクセスした。
 そこには、真っ白な背景色に、黒い文字で『あなたの願いを、叶えます。』と表示されている。

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『あなたの願いを、叶えます。』

生きていれば、叶えたい夢や理想の一つや二つ、ありますよね。

管理人・タツといいます。
こう言っては怪しまれてしまいそうですが、
私は「すべての願いを叶える力」を持っています。

あなたの願いを、フォームに書いて送信してみてください。
どんな願いも、すべて叶えます。

あなたの個人情報は全て、厳密に守られます。


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 そこまで読むと、信じられなさのあまり、頭に疑問符がたくさん浮かんだ。一度スマホの画面から顔を離して、頭の中を整理する。
 視線をうつした窓の向こうは、夕日が、街をオレンジ色に照らし始めていた。
 もう、そんなに時間が経っていたんだ……。

 続きを読むため、私は、妙に間が空いている画面をスクロールした。
 すると、文章の雰囲気が少しだけ変わったように見えた。

 注意書き、だろうか。


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――ただし、”三つ”、お伝えしておかないといけないことがあります。

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一、願いが叶うタイミングは分かりません。

二、願い事は、おひとり様につき、生涯で3つまで。
 ※一度にすべてでもよし、一つずつでもよし、自由です。

三、『今、生きているその場所で、変わる覚悟はありますか?』
 ※最後の願いは、よく考えたうえで送信してください。

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上記全てご了承のうえ、
ぜひ、あなたの願いをお聞かせください。

一緒に、すべて叶えて、幸せになりましょう。

まぁ、必ずしも思い通りに、正確に、叶うかは分かりませんが。

↓ 送信フォームはこちら ↓

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名前:



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 やけに注意書きが多い。それほど、何かあるんだろうか。

 説明に流されるまま、画面を最後までスクロールすると、願い事を書くためのフォームが表示された。
 そのフォームは、真っ白な光を放ちながら、「今すぐ書け」と言わんばかりに、ずっとカーソルを点滅させている。

 (願いが全部、どんな内容でも叶う……)

 それだけが頭の中に焼き付いて、支配している。
 願いなんて、叶えたい夢や理想なんて、数えたらきりがない。

 そうだ、今、叶えたい夢や理想、願いをルーズリーフにまとめて、そこから選ぼう。そうすれば、選べるし、三つなんて制限を無駄にせずに済むはず。

 私は思い立ってすぐ、椅子に座り、棚からルーズリーフを一枚取り出して、シャーペンをカチカチと鳴らした。