「【9歳男児熱中症放置死、両親「だって言うこと聞かないし」「育てにくかったから」】
2026年8月25日 10:05
埼玉県〇〇市で、8月15日夕方頃、エアコンが切れたままの部屋に8歳男児が数日間放置されたまま、熱中症で死亡した事件。両親である〇〇〇〇容疑者(29)と〇〇〇〇容疑者(30)が8月16日、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された。両親は、一週間ほど海外旅行をしていたという。
児童相談所は以前から「子どもが『ごめんなさい』と泣き叫ぶ声と、それに対して誰かが怒鳴る声が毎晩聞こえてくる」などといった通告を受け、何度も訪問していたが、訪問時は両親は共に対応し、死亡した長男は夏休みが始まる前も元気に登校していたり、関係機関への調査による結果から日常的な虐待が起きているとは考えにくかっため、「緊急性はない」と判断したと答えている。
また、「ほかにより緊急性が高いケースが立て込んでいた。その対応に追われていた」と深く頭を下げて謝罪会見を行う様子が連日放送されている。……」
校長は手に持っていた一枚のプリントを置き、マイクの位置調整をして口を開いた。
「緊急性が低い、と判断されていなければ防げていたことだろうと私は思っている。また、昨今は児童相談所の人員不足が問題になっていることは、この分野のニュースを追えばみんな、分かることだろう」
そんなはずないのに、校長の心臓の音が聞こえてくる気がして、私は耳を抑えたくてたまらなくなった。
けれど、今だけは、この話だけはいつもと違って、全部、ちゃんと聞かなきゃいけない気がした。
私は、両手の指を互いに握ったり離したりすることしかできない。
「第一に、両親は罪を償うべきだ、それは間違いない。だが、それで終わらせていいことだとはどうも思えない。
子どもを助けるために強制力を持ってより深く介入していれば、もっと早く動いていれば、と思うことも簡単だろう。問題はそれだけではないはず。
子どもは本来、大人に無条件で大切にされ、守られるべき存在だ。私も校長である前に……一人の大人として、君たちを、君たちの命を守る責任がある。命を預かっている以上、その責任を果たす義務がある」
当たり前のことを言われているはずなのに、胸の奥を掴まれたように聞き入っている。
校長先生は声を詰まらせ、嗚咽を漏らしそうな声で、最後に、と前置きしてマイクを握り直す。その瞬間、前頭葉を射抜くような衝撃を受けた。私は、仮想空間でのことを、タツさんが亡くなったときのこと、その夢を、張り裂けるような思いで後悔したことを、とめどなく流れてくる映像のように思い出し、目尻から鼻に向けて突き刺すような熱を感じ、右手で口を押さえた。
駄目、今だけは堪えなきゃ――――
「最後に、生徒全員に向けて言いたい」
やめて、お願いだから、言わないで――――
2026年8月25日 10:05
埼玉県〇〇市で、8月15日夕方頃、エアコンが切れたままの部屋に8歳男児が数日間放置されたまま、熱中症で死亡した事件。両親である〇〇〇〇容疑者(29)と〇〇〇〇容疑者(30)が8月16日、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された。両親は、一週間ほど海外旅行をしていたという。
児童相談所は以前から「子どもが『ごめんなさい』と泣き叫ぶ声と、それに対して誰かが怒鳴る声が毎晩聞こえてくる」などといった通告を受け、何度も訪問していたが、訪問時は両親は共に対応し、死亡した長男は夏休みが始まる前も元気に登校していたり、関係機関への調査による結果から日常的な虐待が起きているとは考えにくかっため、「緊急性はない」と判断したと答えている。
また、「ほかにより緊急性が高いケースが立て込んでいた。その対応に追われていた」と深く頭を下げて謝罪会見を行う様子が連日放送されている。……」
校長は手に持っていた一枚のプリントを置き、マイクの位置調整をして口を開いた。
「緊急性が低い、と判断されていなければ防げていたことだろうと私は思っている。また、昨今は児童相談所の人員不足が問題になっていることは、この分野のニュースを追えばみんな、分かることだろう」
そんなはずないのに、校長の心臓の音が聞こえてくる気がして、私は耳を抑えたくてたまらなくなった。
けれど、今だけは、この話だけはいつもと違って、全部、ちゃんと聞かなきゃいけない気がした。
私は、両手の指を互いに握ったり離したりすることしかできない。
「第一に、両親は罪を償うべきだ、それは間違いない。だが、それで終わらせていいことだとはどうも思えない。
子どもを助けるために強制力を持ってより深く介入していれば、もっと早く動いていれば、と思うことも簡単だろう。問題はそれだけではないはず。
子どもは本来、大人に無条件で大切にされ、守られるべき存在だ。私も校長である前に……一人の大人として、君たちを、君たちの命を守る責任がある。命を預かっている以上、その責任を果たす義務がある」
当たり前のことを言われているはずなのに、胸の奥を掴まれたように聞き入っている。
校長先生は声を詰まらせ、嗚咽を漏らしそうな声で、最後に、と前置きしてマイクを握り直す。その瞬間、前頭葉を射抜くような衝撃を受けた。私は、仮想空間でのことを、タツさんが亡くなったときのこと、その夢を、張り裂けるような思いで後悔したことを、とめどなく流れてくる映像のように思い出し、目尻から鼻に向けて突き刺すような熱を感じ、右手で口を押さえた。
駄目、今だけは堪えなきゃ――――
「最後に、生徒全員に向けて言いたい」
やめて、お願いだから、言わないで――――

