母の優美は、その名前の通りの人。
美しく、なにより優しい。
一度も怒られた記憶がなく、そのためか私には思春期や反抗期らしきものも訪れなかった。
『優里、優しい人でいればいつか報われるのよ』
母の口癖は、いつもそれだった。
当然、優しいの〝優〟が入った私の名前を決めたのも母。
『うん、お母さん!』
幼稚園の頃からその口癖を聞かされていた私は、それが正しいと疑うことなくそう返事をしていた。
親は子の鏡。
実際母は、周りに優しく接していたからママ友も多かった。
しかし、当日幼稚園児だった私と母が見えている景色は全く違っていた。

