あの時もすみれのことを考えていたから、正直、怖いな程度で終わっていた。
それに私は世間知らずで、2人の言う『カースト』の意味が分かっていなかったのだ。
クラスメイトの名前も覚えられていなかったから、『岩間さん』が葉音の名字だということも。
そして、『岩間さんにやれって言われた』のなにを『やれ』と言われたのかもよく分からなかった。
でも、それはカースト最底辺と仲良くした『マユコ』という人物へのイジメだったのではないのだろうか。
最悪のタイミングでそれを理解してしまった。
だから、すみれが縋るような『だいじょうぶだよね?』という目を向けてきても、逸らすしかなかった。
それからだ、すみれが亡霊のごとくクラスメイトたちに無視されるようになったのは。
幸いにも、イジメは起こらなかった。
葉音がイジメをするのは、カースト最底辺と仲良くした人物に対してだから。
だから、私たちがすみれと仲良くする以外は普通の学校生活を送っていれば毎日が平和だ。
表面上、は。
そんな悲劇を繰り返してしまったから、こんなデスゲームが始まってしまったのだろうか。
その中でも、私は全ての発端であるカーストを作った葉音よりひどい加害者だ。
カースト最底辺だったフミと仲良くしたマユコが、イジメのせいで不登校になったという話を聞いてから、経験したことはないけれど恐怖が植えついた〝イジメ〟。
それが怖くて、私もその他大勢の生徒と同じにすみれに話しかけなかった。
罪悪感で学校の外でもそれは同様だったし、当時は少し頻繁に使っていたラインもできなくなるのは早かった。
だから、すみれが亡くなって自分の行動を後悔しても、もう遅いんだ――

