――「あ」
少し怖くなってきたので帰ろうかな、という考えが浮かんできた時。
後ろから衝動的に漏れたような声がして、私はハッとして振り向いた。
「あ……」
津島純。
表向きの関係は、〝ただのクラスメイト〟だ。
静かな空間で一重の目同士が、お互いの姿を映す。
私は背中に汗をかきながら、ギュッとリュックの肩ひもを握った。
今はよく分からない状況だけど、私たち以外に人がいないというのは純と対面している今なら好都合……かもしれない。
純も同じことを思っているのだろう、先に昇降口の中へ入って行ったりはしなかった。
私は生唾をごくっと飲み込み、一歩純に近づいた。
口角を上げる。

