――「阿久戸さん……っ、うぅ……」
ずいぶん人の少なくなった教室。
そこに石井和奏のすすり泣きが投下された。
とわと一緒に行動していた私は涙の一滴も出ないのに。
和奏って優しいんだな、泣き虫だけど。
ぼんやりそう思っていると、そんな和奏に時枝美怜が寄り添って言葉をかける。
「和奏、落ち着くまで泣いていいよ。私も、阿久戸さんが死んだの悲しいから気持ちは分かる」
「ありがとう……美怜ちゃん」
涙に濡れた顔で、和奏は安心するように笑みをこぼす。
私はとうとう見ていられなくなり、「ねぇ」と2人の前に立った。
「ん?どうしたのー、岩間さん」
美怜に軽い調子で言われた瞬間、私はすぐ横にあった机をバンッ!と叩いていた。
「なにが『岩間さん』なの。美怜、あんた腹黒すぎる!」
「は、腹黒……?」
美怜ではなく和奏が、困惑したようにつぶやく。
「和奏はさ、この腹黒女に騙されてるんだよ。美怜を友達、いや親友だと思ってる?違う、美怜は和奏を親友どころか友達ですらない関係だと思ってる。そうでしょ、美怜?」
「……」
「い、岩間さん!なにを言っているの……?相手が岩間さんでも、美怜ちゃんを悪く言うのは許せないっ」
グロスが塗られた唇を真一文字に結んでいる美怜に気づいていないのか、少し声を荒げた和奏。

