「おーい、早く出てこいー」
5月に入って、連休が終わったばかりの朝。休み前とは違う柔らかい日差しが肌に当たり、なんだか気分が上がる。新学期が始まって、やっとクラスに馴染めてきたなと思ったら、この連休だ。休みってあっという間で休みは嬉しいはずなのに、終わるのは一瞬で悲しくもある。俺の場合はバイトで潰れたし。まぁ、予定なんてなかったしな。そんなことを考えながら待っている。
「ごめん、遅れた。おはよ。」
玄関から出てきた見慣れた顔。整った顔立ちに、俺よりも頭ひとつ分高い身長。なのに、目尻を下げて申し訳なさそうに笑う。
「おはよ。連休明けから遅刻すんなよ」
軽く言ってみる、
「うん。気をつける」
と素直に頷き、ちゃんと反省してる様だった。裕真はこの連休、親の出張に着いてアメリカに行っていたらしい。時差ボケもあるのかななんて思っていた。そこからといい、思う様に会話が生まれず、気まずい。いつもってどうだった、いっつも会ってたやつに数日ぶりに会うだけなのに、最初の一言を探すのに、少しだけ時間がかかる。
「あ、あーアメリカどうだった?」
ぎこちない聞き方になった気がして少しだけ後悔する。裕真は気にした様子もなく、
「当たり前に日本と違ってさ、外出る気にもならなくてホテルにずっといた。てか、早く咲に会いたかった」
「なんだよそれ!ちゃんと観光とかしろよ」
そんなふうにどうでもいい会話を続けながら学校へ向かう。隣を歩く距離も、歩幅も、全部いつも通り。これだな。特別なことなんて何にもないのに、妙に落ち着く、これがいつもの日常だって、体が勝手に思い出していく。
学校に着く頃には予鈴がなっていて俺たちは慌てて走り出す。
「やばっ、走るぞ!遅刻したくないだろ」
息を切らしながら廊下を走る。その途中で、ふと思う。青春してんな。特別なことをしてる訳じゃないのに、こういう瞬間は記憶に残る気がする。ギリギリで教室に滑り込み、席に座る。はぁ、吐息を吐いてから、斜め前をみる。原因こいつな、、、。視線に気づいたのか裕真が振り返って、バツの悪そうな顔をする。ギリ遅刻はしてないし、アメリカから昨日帰ってきて時差ボケにやられて、大変だった。ということを仮定において許してやることにした。そうすると、先生が教室に入ってきて、今日一日の学校生活がスタートする。連休明けの特権で、俺は久々の授業でやる気に満ち溢れているが、裕真は頬が潰れるほど机と仲良くして寝ている。
「おーい、起きろ」
頭をツンツンと刺してみる。
「一緒にご飯!たべるぞ!」
「、、、う、うん、、」
寝ぼけた声で返事をする。呆れながらも、面白おかしくてつい笑ってしまう。
屋上は強風なことが多いが今の時期は太陽から出されるポカポカとした暖かさを感じることができ積極的にここで昼ごはんを食べる。
「なんかさ」
「うん?」
何にも思ってなさそうな返事が返ってくる。だからこんなこと聞くの変かなって思ってしまうが、言わないと一方的でもこのなんとも言えない空気がいやで。
「裕真に会うの久しぶりだからか、なんか緊張するんだけど」
「なんで?」
「なんでって、、いや、わかんないけど、こんなに会わなかったの初めてだからかな」
「確かにね」
「咲は俺に会いたかった?」
「えっ、、連休中バイトばっかだったし、そんなこと考えてなかった」
「でも、久々会ったら、その、会いたかったのかも」
「そっか」
それだけ言って、話題を変えるみたいに、
「てか、ドーナツ屋さんでまだバイトしてるの?」
「うん!してるよ!あっ、そうそう!」
そう言って、袋を取り出し、お目当てのものを裕真へ差し出す。
「はい!これ、裕真の好きないちご味!」
「俺はチョコ〜」
「おっありがとう」
嬉しそうな声でお礼を言われたら何度だって、好物をあげたくなる。2人で食べるドーナツの甘い匂いがふわっと広がり、さっきまであった変なぎこちなさが少しずつ解けていく。戻ってきた。この感じ。何も考えずに話せる距離。
「そう言えば、5時間目ってなんだっけ?」
「コミュ英じゃなかったけ?」
「あっ、そっか、って班学習じゃん、、」
さっきまで寝ていた裕真を思い出した。今日の裕真は授業中ずっと机とお友達で。
「じゃ寝れないな」
「気をつける」
少し恥ずかしそうに目を逸らされる。そんなことされたら、こちらから合わせに行く。
「てか、授業中にねるなよ」
「はいはい」
と軽く流される。ちゃんと聞いてんのかこいつは。授業中に寝ていても成績が良い裕真に手も足も出ない。
「い、いなーそんなこと気にせずいれて」
「咲もがんばってるじゃん」
そう言って、ポンポンと軽く頭の上に手がのる。
「……うぜ」
反射的に言いながらも、なんだよこれ。なぜか胸がくすぐったくなるような気がした。そして少しだけ、悪い気はしないような、でも舐められてる気がするような。
「ほら、行くぞ」
「うん」
5時間目のコミュ英は班でやることが多くて、俺的には少し面倒な授業だ。
「はい、班机にしてくださーい」
先生の声で、机が動き出す。
「今日は交換日記をやります!」
ざわつく教室。
「英語で今日の出来事を書いて、時計回りで回してくださいねー」
ペンを持ちながら、手が止まる。何書けばいいんだよ……今日の出来事なんかあったかな。あっ、連休明けから遅刻しそうになったことでも書こうかな。そんなことを考えていると、
「ねね、みんなで交換日記やらない?」
班の女子が勢いよく言い出した。
「えー!懐かしい!小学生の時やってたー!」
盛り上がる女子たち。
男子はというと、
「交換日記?今やってるじゃん」
ハテナが浮かぶ俺たちに
「違う、違う!今やってるのは今日の出来事だけ書いてるでしょ、私たちがやってたのは、悩み相談とから恋バナとか話すの!」
「……は?」
思わず声が出る。それ俺たちやる必要あるかなんで隣の水原と目くばせしながら気持ちを共有した。でも、女子たちはきらきらした目でこっちを見ていて、断れるはずもなく。
「今やったら絶対面白いよ!」
その一言で、なんとなく流れが決まる。
「……まあ、やるなら」
渋々頷く。
「やったー!じゃあ明日からね!」
こうして、よくわからないまま始まることになった交換日記。そんな軽い気持ちで。このときは、まだ。これがちょっと面倒なことになるなんて、思ってなかった。
交換日記も、気づけばもう4周目。最初はノリで始まっただけだったのに、意外と続いてる。こういうのって、すぐ終わると思ってたのにな。ページをめくりながら、他のやつらの書いた内容を読んでいく。
秘密コーナーには、意外とちゃんとした悩みが書いてあったりするし、ラブコーナーでは付き合ってるやつの惚気とかも普通に書かれている。なんか、いいよな。クラスのやつらと、こういう形で距離が縮まっていく感じ。ちょっとだけ、楽しいと思ってる自分がいる。
「三登くんってなんであんなにいつもキラキラしててカッコいんだろ。結構好きかも、、」
またかよ。思わず、ページを捲る手が止まる。裕真の話だ。交換日記の“ラブコーナー”。そこに書かれている名前は、ほとんど毎回同じだ。やっぱモテんだな。なんとなくわかってはいたけど、こうやって文字で見ると妙に実感する。そのとき、あるページでまた手が止まった。えっ。思わず、目を見開く。そこに書かれていたのは
阿良木くんへ
三登くんについてたくさん教えて!
とりあえず4個質問に答えてほしいです!
1つ目!好きな食べものは?
2つ目!好きなタイプは?
3つ目秘密教えて?
4つ目三登くんってどんな人なの?
ここだけの話しだからね、絶対誰にも言わないで!
いやいやいや、、、、これ、日記じゃなくないか?思わずページを見返す。裕真のこと気になってるのかなとは思ってたけど、ここまで来ると、さすがに笑えてくる。てか、ほぼインタビューじゃん。
ペンを持つけどすぐには書き出せない。裕真のことか。頭の中に、いつもの光景が浮かぶ。
「えーと……」
とりあえず一問目。“三登くんは何好き?”
あー、これは簡単だな。
A.ドーナツ。
俺がバイト先から持って帰ったやつを、一緒に食べる。そのときの裕真の顔。ほんと幸せそうに食うよな、次バイトの時ももって帰ろなんて思い出して少しだけ口元が緩む。
二問目。好きな人のタイプは?知らねー。一瞬で詰まる。そういえば、そういう話したことないな。考えてみるけど、全然思い浮かばない。あいつ、誰のこと好きとか言わないし、ペン先が止まる。少し悩んでから、
A.ごめん、わかんない。今度聞いとく!とだけ書く。
てか、なんで俺が聞く流れなんだよ
三問目。秘密教えて?秘密かー少し考える。ないだろ思いつかない。ずっと一緒にいるのが当たり前すぎて、隠してることとか、あるのか?
A.秘密はたぶんないと思う!あの見たまんまだよ笑
あいつ、俺に隠し事とかしてんのかな。そんなことなんて気にしたことなかったのにいざ考えてるとそのことを気にしてしまう。
4つ目。三登くんってどんな人?”これが一番むずい。ペンをくるくる回しながら考える。優しいのは確定であと、距離感バグなところとか。俺が女子だったら恋しちゃってたなって思うこともある。だって、あの顔面であんなことやそんなことされたら思っちゃうだろ。と自分に言い聞かせる。
A.ドキッとするようなカッコいいことを、それとなくこなすやつ。
女子はこういうされたいだろうな。裕真の魅力広めさせちゃった。こんな情報俺からしか流出したいんだからな感謝するんだぞと言う気持ちでペンを置く。
書き終わって、改めて見返す。そのとき、ふと気づく。なんでなんも裕真のこと知らないのに、好きなんだろ。俺の方が、裕真のこと知ってるのに。そんな考えが浮かぶ。いやいや、何言ってんだ俺は。自分で打ち消す。別に、いいじゃん、裕真が誰に好かれてても。俺には関係ない。関係ない、はず。なのに。なんで、ちょっと面白くねーんだろ。答えは、まだ出ないまま。ページだけが、静かに閉じられた。
5月に入って、連休が終わったばかりの朝。休み前とは違う柔らかい日差しが肌に当たり、なんだか気分が上がる。新学期が始まって、やっとクラスに馴染めてきたなと思ったら、この連休だ。休みってあっという間で休みは嬉しいはずなのに、終わるのは一瞬で悲しくもある。俺の場合はバイトで潰れたし。まぁ、予定なんてなかったしな。そんなことを考えながら待っている。
「ごめん、遅れた。おはよ。」
玄関から出てきた見慣れた顔。整った顔立ちに、俺よりも頭ひとつ分高い身長。なのに、目尻を下げて申し訳なさそうに笑う。
「おはよ。連休明けから遅刻すんなよ」
軽く言ってみる、
「うん。気をつける」
と素直に頷き、ちゃんと反省してる様だった。裕真はこの連休、親の出張に着いてアメリカに行っていたらしい。時差ボケもあるのかななんて思っていた。そこからといい、思う様に会話が生まれず、気まずい。いつもってどうだった、いっつも会ってたやつに数日ぶりに会うだけなのに、最初の一言を探すのに、少しだけ時間がかかる。
「あ、あーアメリカどうだった?」
ぎこちない聞き方になった気がして少しだけ後悔する。裕真は気にした様子もなく、
「当たり前に日本と違ってさ、外出る気にもならなくてホテルにずっといた。てか、早く咲に会いたかった」
「なんだよそれ!ちゃんと観光とかしろよ」
そんなふうにどうでもいい会話を続けながら学校へ向かう。隣を歩く距離も、歩幅も、全部いつも通り。これだな。特別なことなんて何にもないのに、妙に落ち着く、これがいつもの日常だって、体が勝手に思い出していく。
学校に着く頃には予鈴がなっていて俺たちは慌てて走り出す。
「やばっ、走るぞ!遅刻したくないだろ」
息を切らしながら廊下を走る。その途中で、ふと思う。青春してんな。特別なことをしてる訳じゃないのに、こういう瞬間は記憶に残る気がする。ギリギリで教室に滑り込み、席に座る。はぁ、吐息を吐いてから、斜め前をみる。原因こいつな、、、。視線に気づいたのか裕真が振り返って、バツの悪そうな顔をする。ギリ遅刻はしてないし、アメリカから昨日帰ってきて時差ボケにやられて、大変だった。ということを仮定において許してやることにした。そうすると、先生が教室に入ってきて、今日一日の学校生活がスタートする。連休明けの特権で、俺は久々の授業でやる気に満ち溢れているが、裕真は頬が潰れるほど机と仲良くして寝ている。
「おーい、起きろ」
頭をツンツンと刺してみる。
「一緒にご飯!たべるぞ!」
「、、、う、うん、、」
寝ぼけた声で返事をする。呆れながらも、面白おかしくてつい笑ってしまう。
屋上は強風なことが多いが今の時期は太陽から出されるポカポカとした暖かさを感じることができ積極的にここで昼ごはんを食べる。
「なんかさ」
「うん?」
何にも思ってなさそうな返事が返ってくる。だからこんなこと聞くの変かなって思ってしまうが、言わないと一方的でもこのなんとも言えない空気がいやで。
「裕真に会うの久しぶりだからか、なんか緊張するんだけど」
「なんで?」
「なんでって、、いや、わかんないけど、こんなに会わなかったの初めてだからかな」
「確かにね」
「咲は俺に会いたかった?」
「えっ、、連休中バイトばっかだったし、そんなこと考えてなかった」
「でも、久々会ったら、その、会いたかったのかも」
「そっか」
それだけ言って、話題を変えるみたいに、
「てか、ドーナツ屋さんでまだバイトしてるの?」
「うん!してるよ!あっ、そうそう!」
そう言って、袋を取り出し、お目当てのものを裕真へ差し出す。
「はい!これ、裕真の好きないちご味!」
「俺はチョコ〜」
「おっありがとう」
嬉しそうな声でお礼を言われたら何度だって、好物をあげたくなる。2人で食べるドーナツの甘い匂いがふわっと広がり、さっきまであった変なぎこちなさが少しずつ解けていく。戻ってきた。この感じ。何も考えずに話せる距離。
「そう言えば、5時間目ってなんだっけ?」
「コミュ英じゃなかったけ?」
「あっ、そっか、って班学習じゃん、、」
さっきまで寝ていた裕真を思い出した。今日の裕真は授業中ずっと机とお友達で。
「じゃ寝れないな」
「気をつける」
少し恥ずかしそうに目を逸らされる。そんなことされたら、こちらから合わせに行く。
「てか、授業中にねるなよ」
「はいはい」
と軽く流される。ちゃんと聞いてんのかこいつは。授業中に寝ていても成績が良い裕真に手も足も出ない。
「い、いなーそんなこと気にせずいれて」
「咲もがんばってるじゃん」
そう言って、ポンポンと軽く頭の上に手がのる。
「……うぜ」
反射的に言いながらも、なんだよこれ。なぜか胸がくすぐったくなるような気がした。そして少しだけ、悪い気はしないような、でも舐められてる気がするような。
「ほら、行くぞ」
「うん」
5時間目のコミュ英は班でやることが多くて、俺的には少し面倒な授業だ。
「はい、班机にしてくださーい」
先生の声で、机が動き出す。
「今日は交換日記をやります!」
ざわつく教室。
「英語で今日の出来事を書いて、時計回りで回してくださいねー」
ペンを持ちながら、手が止まる。何書けばいいんだよ……今日の出来事なんかあったかな。あっ、連休明けから遅刻しそうになったことでも書こうかな。そんなことを考えていると、
「ねね、みんなで交換日記やらない?」
班の女子が勢いよく言い出した。
「えー!懐かしい!小学生の時やってたー!」
盛り上がる女子たち。
男子はというと、
「交換日記?今やってるじゃん」
ハテナが浮かぶ俺たちに
「違う、違う!今やってるのは今日の出来事だけ書いてるでしょ、私たちがやってたのは、悩み相談とから恋バナとか話すの!」
「……は?」
思わず声が出る。それ俺たちやる必要あるかなんで隣の水原と目くばせしながら気持ちを共有した。でも、女子たちはきらきらした目でこっちを見ていて、断れるはずもなく。
「今やったら絶対面白いよ!」
その一言で、なんとなく流れが決まる。
「……まあ、やるなら」
渋々頷く。
「やったー!じゃあ明日からね!」
こうして、よくわからないまま始まることになった交換日記。そんな軽い気持ちで。このときは、まだ。これがちょっと面倒なことになるなんて、思ってなかった。
交換日記も、気づけばもう4周目。最初はノリで始まっただけだったのに、意外と続いてる。こういうのって、すぐ終わると思ってたのにな。ページをめくりながら、他のやつらの書いた内容を読んでいく。
秘密コーナーには、意外とちゃんとした悩みが書いてあったりするし、ラブコーナーでは付き合ってるやつの惚気とかも普通に書かれている。なんか、いいよな。クラスのやつらと、こういう形で距離が縮まっていく感じ。ちょっとだけ、楽しいと思ってる自分がいる。
「三登くんってなんであんなにいつもキラキラしててカッコいんだろ。結構好きかも、、」
またかよ。思わず、ページを捲る手が止まる。裕真の話だ。交換日記の“ラブコーナー”。そこに書かれている名前は、ほとんど毎回同じだ。やっぱモテんだな。なんとなくわかってはいたけど、こうやって文字で見ると妙に実感する。そのとき、あるページでまた手が止まった。えっ。思わず、目を見開く。そこに書かれていたのは
阿良木くんへ
三登くんについてたくさん教えて!
とりあえず4個質問に答えてほしいです!
1つ目!好きな食べものは?
2つ目!好きなタイプは?
3つ目秘密教えて?
4つ目三登くんってどんな人なの?
ここだけの話しだからね、絶対誰にも言わないで!
いやいやいや、、、、これ、日記じゃなくないか?思わずページを見返す。裕真のこと気になってるのかなとは思ってたけど、ここまで来ると、さすがに笑えてくる。てか、ほぼインタビューじゃん。
ペンを持つけどすぐには書き出せない。裕真のことか。頭の中に、いつもの光景が浮かぶ。
「えーと……」
とりあえず一問目。“三登くんは何好き?”
あー、これは簡単だな。
A.ドーナツ。
俺がバイト先から持って帰ったやつを、一緒に食べる。そのときの裕真の顔。ほんと幸せそうに食うよな、次バイトの時ももって帰ろなんて思い出して少しだけ口元が緩む。
二問目。好きな人のタイプは?知らねー。一瞬で詰まる。そういえば、そういう話したことないな。考えてみるけど、全然思い浮かばない。あいつ、誰のこと好きとか言わないし、ペン先が止まる。少し悩んでから、
A.ごめん、わかんない。今度聞いとく!とだけ書く。
てか、なんで俺が聞く流れなんだよ
三問目。秘密教えて?秘密かー少し考える。ないだろ思いつかない。ずっと一緒にいるのが当たり前すぎて、隠してることとか、あるのか?
A.秘密はたぶんないと思う!あの見たまんまだよ笑
あいつ、俺に隠し事とかしてんのかな。そんなことなんて気にしたことなかったのにいざ考えてるとそのことを気にしてしまう。
4つ目。三登くんってどんな人?”これが一番むずい。ペンをくるくる回しながら考える。優しいのは確定であと、距離感バグなところとか。俺が女子だったら恋しちゃってたなって思うこともある。だって、あの顔面であんなことやそんなことされたら思っちゃうだろ。と自分に言い聞かせる。
A.ドキッとするようなカッコいいことを、それとなくこなすやつ。
女子はこういうされたいだろうな。裕真の魅力広めさせちゃった。こんな情報俺からしか流出したいんだからな感謝するんだぞと言う気持ちでペンを置く。
書き終わって、改めて見返す。そのとき、ふと気づく。なんでなんも裕真のこと知らないのに、好きなんだろ。俺の方が、裕真のこと知ってるのに。そんな考えが浮かぶ。いやいや、何言ってんだ俺は。自分で打ち消す。別に、いいじゃん、裕真が誰に好かれてても。俺には関係ない。関係ない、はず。なのに。なんで、ちょっと面白くねーんだろ。答えは、まだ出ないまま。ページだけが、静かに閉じられた。
