生徒会長の底なしの執着 ~3センチの隙間から始まる予感~

新学期が始まって早々、僕は零を生徒会室へ呼び出した。

用件なんて、もちろんない。
ただ、会いたかった。


家で会うより、零は学校にいるときの方が表情が柔らかかった。


だけど、他の生徒と話している姿や笑っている顔を見ると、ひどく苛立った。


こんな感情、知らなかった。


「なんの用だよ、生徒会長さん」


不機嫌そうにドアを閉めながら、零がこちらを見る。睨む、といった方がいい。


あの春休みの日と、同じ場所。


零は気づいている。

如月を抱いていたのが、僕だということを。

だからだろうか。
このあと起こることを、きっと予感している。


零はドアの近くから動こうとしない。


少し伸びた金髪の前髪。

その隙間から覗く反抗的な目には、かすかに怯えの色が混じっていた。


「ネクタイはどうした?着用は校則で決まっている」

「忘れた。めんどい、あれ」


僕はゆっくり立ち上がると、零へ歩み寄った。


一歩近づくたび、零の肩がわずかに強張っていく。


その反応だけで、喉が熱くなる。


「な、なんだよ」

「ネクタイをしないのなら、せめてボタンくらい――」


僕は零の制服のボタンへ指をかけた。


「っ……!?」


零が肩を震わせる。

細い喉が、ゴクリと上下した。


最初は、本当にボタンを閉めるだけのつもりだった。
校則を盾にして、ほんの少し、あいつに触れる理由が欲しかっただけ。


それだけのはずだった。


制服の隙間から、微かに肌に触れただけで……。


――駄目だ。我慢できない。


頭の中で、何かがぷつりと切れた。


「お、おい、やめ――」


気がつけば、ソファへ押し倒していた。


零の瞳が大きく揺れる。


どんな顔で怒るのか。
どんな声で反抗するのか。
どこまで追い詰めれば、自分の名前を呼ぶのか。


熱を持ちはじめた零の白い頬に、背筋の震えが止まらない。


「や、やめ……て……」


自分の痕を刻み込むたび、零は泣きそうな顔で僕を睨み返す。


誰にも触れられないでほしい。
僕だけを見ていてほしい。


――嫌われてもいいから、そばにいて。