兄貴の作ったテディベア


家に帰り、着替えるために自室のドアを開ける。

大きなクマのぬいぐるみを、丁寧にベッドの上の枕元に置いた。


「明日から兄貴と同じ部活かぁ…」


ニヤけきっただらしのない頬を両手で挟む。

ダメだ、こんな緩みきった顔のままじゃ部屋から出られない。

夕飯の準備をするって言っていた兄貴を手伝わないといけないのに。


「でも…やっぱ嬉しいよな…」


オレと一緒に手芸をしたいって、そう言ってくれたんだ。

他の誰でもない、オレを選んでくれた。


「もう兄貴ってば、オレの事大好きじゃん…!」


囁くように口からもれ出た声は幸福感に満ちている。

はっきり言って手芸にはほとんど興味が無い。

だけど…やるなら練習して、完璧に作品を作れるようになりたかった。

そしたらいつか、兄貴と合作とか…共通の話題でもっと仲良くなれたり。


「…なんてね」


膨らむ妄想に終止符を打ちながら、クローゼットを開けて服のボタンを外した。

報われない想いだとしても、妄想くらいならしても許される。

…そうだよね?

ねえ、兄貴。

僅かなむなしさを胸の奥に秘めながら、部屋着に着替えてリビングへと向かった。

明日から始まる兄貴との部活動。

まずは入部届けの書き方から教えてもらおう。



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