ブレイクファスト!-恋の速攻は決まらない-

 試合終了を告げるホイッスルが鳴る直前、最後にネットを揺らしたのは間宮だった。

 立ち尽くすようにバスケットボールを見上げていた冴島に、間宮が歩み寄った。
 そして何か言葉をかけると二人はハイタッチを交わした。
 そんな光景をコートの外から見届けたあと、俺は力が抜けたようにどさりとベンチに座り込んだ。

 71-69。

 本当にギリギリの戦いだった。
(すげーな。間宮も、冴島も)
 ため息が漏れた。
 でも、悔しいからじゃない。

──楽しかった。

 込み上げてくる感情をタオルでガシガシと拭う。
 戻ってくる選手たちを出迎えようと、立ち上がったそのときだった。
 ふっと視界が塞がれた。
 気がつけば大きな腕が背中に回されて、ポンポンと叩かれたあと、すぐに体が離された。
 首を反らすようにして見上げると、冴島が少し身を屈めて笑っていた。

「先輩のおかげです」

 それだけ告げると、冴島は一年たちが集まる輪の中に入っていった。
 俺はその姿を呆然と見送った。
 その後ろから戻ってきた間宮とも目が合う。
 間宮は何か飲み込むような顔をしたあと、目を逸らして通り過ぎていった。