「わあ、すごい! これはなんて言うんスか?」
チャーリーは、私の作った折り紙作品を手にして、キラキラと目を輝かせている。
手のひらよりも大きな、カラフルで丸い作品。
「これはねえ、くす玉だよ。薗部式ユニットの三十枚組み」
うちのサークルは、一応、折り紙サークル。こうやって、時々気ままに作品を折ることもある。
「三十枚⁉ めっちゃ難しそうっスね」
「難しくはないんだけど、とにかく時間がかかるね。省エネしたいときは十二枚で組むこともあるよ」
私が説明すると、祐介は言った。
「咲良は薗部式ユニットが好きだよな。よく折ってる」
そうだ。私はこの作品がとても好きだ。
私は、ついスイッチが入ってしまった。
「うん、やっぱり、数学専攻の性かな。この幾何学的なデザインが気に入ってるね。これ、実は正二十面体がベースになっているの。正二十面体の辺の数は三十。そこに相当する位置に折り紙を配置するから、三十枚。元々はシンプルな形状なんだけど、面に相当する箇所に三角錐をくっつけたような造形になることで、複雑で芸術的な見た目に……」
「おい咲良、ストップ」
私が気持ちよく喋っていると、祐介に止められた。んもう、ここからなのに。
「チャーリーがオーバーヒートしてるから」
祐介は顎をくいっとやった。
見ると、目が点になったチャーリーが、斜め上を見上げていた。まるで、頭からは煙が出ているようだ。
「せいに……じゅう……めん……たい……」
「チャ、チャーリー! しっかり!」
ハンディファンの風を当てたり、水を飲ませたりして、ようやくチャーリーは復活した。
「失礼しました! お手間をかけさせてしまって」
「あはは……文学部のチャーリーには、刺激の強い話だったかな……」
「ねえ、チャーリーも何か折ってよ。手本見る?」
祐介は、チャーリーに折り紙と本を手渡した。
「そうっスねえ。じゃあ私、好きな折り紙があるんで、それは何も見ずに折れます」
チャーリーは、赤色の十二センチの折り紙を手にした。真ん中で折り目を付けると、それに沿って紙を裂き、長方形にした。
そして、長方形の真ん中に半分くらいの切り込みを入れたら、ようやく折り始めた。
私は、紙を折るチャーリーのしなやかな指をじっと見つめた。長くて、綺麗な指。
途中まで折ったところで、何を折るのかピンときた。
恐らく、これは折り鶴だ。
「はい、完成です」
出来上がった作品は、羽がくっついた二羽の折り鶴だった。それぞれ赤と白で、色が異なっている。つまり、紅白の折り鶴。
「いいね、縁起物っぽい。これなんだっけ?」
「妹背山っスね。一枚の紙から、二羽の折り鶴を折ります。片方は裏面を出すことで、二色の鶴になってます」
「妹背山……」
私はその作品をじっくりと見た。
くっついた二羽の折り鶴。
ちょっと神秘的かも。
「チャーリーはこれが好きなんだ」
「はい、そうです」
すると、チャーリーはうっとりとした表情で語り始めた。
「一枚の紙から生まれて、最後まで離れることのない、二羽の折り鶴。なんか、永遠に離れることのない二人、って感じがするところが好きっス」
チャーリーはそう言って、妹背山を大事そうに両手で包んだ。
「素敵っスよね……」
それは、いつもの大型犬の表情ではなく、夢見る少女の顔だった。
……お、重い。
チャーリーの恋愛観って……もしかして、とんでもなく重いタイプなのか?
なんだかわからないけど、私は手にじっとりと汗がにじんできた……。
チャーリーは、私の作った折り紙作品を手にして、キラキラと目を輝かせている。
手のひらよりも大きな、カラフルで丸い作品。
「これはねえ、くす玉だよ。薗部式ユニットの三十枚組み」
うちのサークルは、一応、折り紙サークル。こうやって、時々気ままに作品を折ることもある。
「三十枚⁉ めっちゃ難しそうっスね」
「難しくはないんだけど、とにかく時間がかかるね。省エネしたいときは十二枚で組むこともあるよ」
私が説明すると、祐介は言った。
「咲良は薗部式ユニットが好きだよな。よく折ってる」
そうだ。私はこの作品がとても好きだ。
私は、ついスイッチが入ってしまった。
「うん、やっぱり、数学専攻の性かな。この幾何学的なデザインが気に入ってるね。これ、実は正二十面体がベースになっているの。正二十面体の辺の数は三十。そこに相当する位置に折り紙を配置するから、三十枚。元々はシンプルな形状なんだけど、面に相当する箇所に三角錐をくっつけたような造形になることで、複雑で芸術的な見た目に……」
「おい咲良、ストップ」
私が気持ちよく喋っていると、祐介に止められた。んもう、ここからなのに。
「チャーリーがオーバーヒートしてるから」
祐介は顎をくいっとやった。
見ると、目が点になったチャーリーが、斜め上を見上げていた。まるで、頭からは煙が出ているようだ。
「せいに……じゅう……めん……たい……」
「チャ、チャーリー! しっかり!」
ハンディファンの風を当てたり、水を飲ませたりして、ようやくチャーリーは復活した。
「失礼しました! お手間をかけさせてしまって」
「あはは……文学部のチャーリーには、刺激の強い話だったかな……」
「ねえ、チャーリーも何か折ってよ。手本見る?」
祐介は、チャーリーに折り紙と本を手渡した。
「そうっスねえ。じゃあ私、好きな折り紙があるんで、それは何も見ずに折れます」
チャーリーは、赤色の十二センチの折り紙を手にした。真ん中で折り目を付けると、それに沿って紙を裂き、長方形にした。
そして、長方形の真ん中に半分くらいの切り込みを入れたら、ようやく折り始めた。
私は、紙を折るチャーリーのしなやかな指をじっと見つめた。長くて、綺麗な指。
途中まで折ったところで、何を折るのかピンときた。
恐らく、これは折り鶴だ。
「はい、完成です」
出来上がった作品は、羽がくっついた二羽の折り鶴だった。それぞれ赤と白で、色が異なっている。つまり、紅白の折り鶴。
「いいね、縁起物っぽい。これなんだっけ?」
「妹背山っスね。一枚の紙から、二羽の折り鶴を折ります。片方は裏面を出すことで、二色の鶴になってます」
「妹背山……」
私はその作品をじっくりと見た。
くっついた二羽の折り鶴。
ちょっと神秘的かも。
「チャーリーはこれが好きなんだ」
「はい、そうです」
すると、チャーリーはうっとりとした表情で語り始めた。
「一枚の紙から生まれて、最後まで離れることのない、二羽の折り鶴。なんか、永遠に離れることのない二人、って感じがするところが好きっス」
チャーリーはそう言って、妹背山を大事そうに両手で包んだ。
「素敵っスよね……」
それは、いつもの大型犬の表情ではなく、夢見る少女の顔だった。
……お、重い。
チャーリーの恋愛観って……もしかして、とんでもなく重いタイプなのか?
なんだかわからないけど、私は手にじっとりと汗がにじんできた……。



