男が好きなはずなのに、長身の後輩女子が気になって仕方ない

 今日はサークルの活動日。
 私が女子メンバーと喋っているところに、チャーリーはやって来た。
「映画?」
「はい、一緒に見に行きませんか?」
 チャーリーは、相変わらず見えない尻尾を振りながらこちらを見下ろしている。
 ていうか、みんなでおしゃべりしているのに、なんで私だけ誘うんだ。
「でも、なんで私なの?」
「咲良さん、今年は男子が釣れなくて、お暇だって聞いたんで」
「余計なお世話だ!」
 私はカッとなって返した。
「いいじゃん、行ってあげなよ」
 祐介がニヤニヤしながら口を挟んできた。
「実際のところ、割と暇でしょ?」
「うるさい!」
 でも、それは事実だった。
 去年までは、新入生の男子に『暇?』って軽く連絡すればすぐに予定が埋まったのに……。
 しかし、今はちょうどいい相手がいないのだ。
 だからと言って、どうして一年生の女子なんかと映画に行かないといけないんだ。
 ぐぬぬ……。

 *

 私は自宅でスマホをいじりながら、考えを巡らせていた。

 映画か……最近は見に行ってないな。
 あいつって、どういう映画を見るんだろう。
 スポーティーな感じがするし、アクション映画とかかな。
 いや、でもちょっと子供っぽい感じもするし、アニメとかも見そうだな。
 他には、恋愛映画……これはきっと見ないだろうな。イメージが合わない。
 恋愛、か……。そういえば、あいつって彼氏とかいるのかな。
 聞いたことないけど、そんな噂は聞かないし、私を映画に誘うくらいだからあいつもフリーなんだろうな……。

 そこまで考えたところでハッとして、スマホを伏せて脳をリセットさせた。
 どうして、私は、あいつの恋人のことなんか気にしているんだ!

 私はメッセージアプリを開いた。
 映画の評価サイトを何度も見比べた結果、全米を沸かせたと話題のSF大作のタイトルをチャーリーに送った。
『こういう映画は好き?』
 返事はすぐに来た。
『実は映画あんまり見ないんスよね』『でも咲良さんが選んだなら面白そうっス!』
 あまりにも想定外の返事に、思わず口が開いた。
『じゃあ何で映画に誘ったの?』
『咲良さんとお出かけしたくて』
「はあっ⁉」
 心臓がギュンと跳ねた。
 画面を見つめたまま固まる。耳が熱い。
「こ、こいつは……すぐにそういうこと言う!」
 私は枕に顔を埋めた。ベッドの上で身悶えしながら返信を打つ。
『恥ずかしいことを言うな!』
『この映画、私のために選んでくれたんですか?』
 は?
「ち、違うわ‼」
 私は自分の部屋で吠えた。
 その声は部屋の中でびりびりと響いて、お出かけ用に準備した服が小さく揺れた。