「いやあ、残念だったな」
祐介は嬉しそうな顔で言った。言葉と表情が合ってない。
それは、先日のサークルの新歓コンパの話だ。
昼時の学食は、多くの学生たちで賑わっている。
その喧騒の中で、私は苛立たしげにココナッツカレーをかき回した。
「ていうか、おかしくない? 折り紙サークルの一年生なんて、地味で大人しくて女慣れしてない男子が来るべきじゃないの?」
今年の新入生男子は、みんな彼女持ちだった。さすがに彼女持ちには手を出せない。
「それは偏見が過ぎるな。そもそも、それなら自分で勧誘すればよかったんだよ。四年生ってことにあぐらをかいて、勧誘をサボってたくせに」
祐介からの正論に、ぐうの音も出ない。
「それにしても、あのチャーリーとかいう女を勧誘したのは誰だよ……」
私は新歓コンパのことを思い出していた。ニコニコしながら私の横に座ってきた長身女。
「さあな。まあたいてい二年生だろ。それにしても背が高かったよな。バレーとかバスケとかやってたのかな」
「それこそ偏見が過ぎるでしょ……」
私は呆れながらココナッツカレーを口に放り込んだ。
「咲良さーん」
げえっ、噂をすれば、だ。
学食のトレーを手にしたチャーリーが、私たちを見つけて近づいてきた。
「お隣、いいっスか?」
「どうぞどうぞ」
祐介がそう答えると、チャーリーは私の隣に座った。いや、私の意思は?
「ねえ、チャーリーって何かスポーツやってた?」
話の流れの続きで、祐介は聞いた。
「私はずっと水泳っス。高校まででやめましたけどね」
チャーリーはスマホを操作し、ほら、と言ってこちらに見せてきた。
それは、競泳水着を着て、すっかり日焼けをしたチャーリーの写真だった。
足、なっが。
隠すもののない彼女の日焼けした手足は、驚くほどにすらりと伸びている。
健康的だけど、すごくセクシー。
長くて綺麗な足、引き締まった太もも……。
私はハッとして、スマホを押し返した。
「も、もういいから、しまってしまって」
「え、なんでですか?」
「なんでも」
スマホがしまわれると、祐介は感心したように言った。
「それにしても、めっちゃ日焼けしてたね」
「そりゃもう、日焼けは水泳部の勲章っスからね。夏場は人から見える部分は真っ黒でしたよ」
人から見える部分。私はその言葉が引っ掛かった。
じゃあ、日焼けしてない部分は……。
私はごくりと唾を飲み込んだ。
「咲良さん」
チャーリーに呼びかけられ、私はハッとして彼女を見上げた。
「どうしました?」
彼女は不思議そうな顔をしながら言った。
「んなっ……! なんでもない! そんなことより早くご飯食べなよ!」
私は慌てふためいて言った。
祐介は唐揚げを食べながら、呆れた顔で私たちを眺めていた。
*
私が自宅でくつろいでいると、スマホが鳴った。
見ると、加藤直子からのメッセージだった。あいつだ。チャーリーだ。
サークルのメンバーは同じグループチャットに参加しているから、教えなくても連絡先が伝わってしまう。
『お昼の写真です!』
というメッセージとともに、あの競泳水着の写真が送られてきていた。
「な、なんなのあいつ……!」
私は羞恥と怒りに震えた。
……意味がわからない。
深呼吸して気持ちを落ち着かせてから、私はその画像を保存した。
祐介は嬉しそうな顔で言った。言葉と表情が合ってない。
それは、先日のサークルの新歓コンパの話だ。
昼時の学食は、多くの学生たちで賑わっている。
その喧騒の中で、私は苛立たしげにココナッツカレーをかき回した。
「ていうか、おかしくない? 折り紙サークルの一年生なんて、地味で大人しくて女慣れしてない男子が来るべきじゃないの?」
今年の新入生男子は、みんな彼女持ちだった。さすがに彼女持ちには手を出せない。
「それは偏見が過ぎるな。そもそも、それなら自分で勧誘すればよかったんだよ。四年生ってことにあぐらをかいて、勧誘をサボってたくせに」
祐介からの正論に、ぐうの音も出ない。
「それにしても、あのチャーリーとかいう女を勧誘したのは誰だよ……」
私は新歓コンパのことを思い出していた。ニコニコしながら私の横に座ってきた長身女。
「さあな。まあたいてい二年生だろ。それにしても背が高かったよな。バレーとかバスケとかやってたのかな」
「それこそ偏見が過ぎるでしょ……」
私は呆れながらココナッツカレーを口に放り込んだ。
「咲良さーん」
げえっ、噂をすれば、だ。
学食のトレーを手にしたチャーリーが、私たちを見つけて近づいてきた。
「お隣、いいっスか?」
「どうぞどうぞ」
祐介がそう答えると、チャーリーは私の隣に座った。いや、私の意思は?
「ねえ、チャーリーって何かスポーツやってた?」
話の流れの続きで、祐介は聞いた。
「私はずっと水泳っス。高校まででやめましたけどね」
チャーリーはスマホを操作し、ほら、と言ってこちらに見せてきた。
それは、競泳水着を着て、すっかり日焼けをしたチャーリーの写真だった。
足、なっが。
隠すもののない彼女の日焼けした手足は、驚くほどにすらりと伸びている。
健康的だけど、すごくセクシー。
長くて綺麗な足、引き締まった太もも……。
私はハッとして、スマホを押し返した。
「も、もういいから、しまってしまって」
「え、なんでですか?」
「なんでも」
スマホがしまわれると、祐介は感心したように言った。
「それにしても、めっちゃ日焼けしてたね」
「そりゃもう、日焼けは水泳部の勲章っスからね。夏場は人から見える部分は真っ黒でしたよ」
人から見える部分。私はその言葉が引っ掛かった。
じゃあ、日焼けしてない部分は……。
私はごくりと唾を飲み込んだ。
「咲良さん」
チャーリーに呼びかけられ、私はハッとして彼女を見上げた。
「どうしました?」
彼女は不思議そうな顔をしながら言った。
「んなっ……! なんでもない! そんなことより早くご飯食べなよ!」
私は慌てふためいて言った。
祐介は唐揚げを食べながら、呆れた顔で私たちを眺めていた。
*
私が自宅でくつろいでいると、スマホが鳴った。
見ると、加藤直子からのメッセージだった。あいつだ。チャーリーだ。
サークルのメンバーは同じグループチャットに参加しているから、教えなくても連絡先が伝わってしまう。
『お昼の写真です!』
というメッセージとともに、あの競泳水着の写真が送られてきていた。
「な、なんなのあいつ……!」
私は羞恥と怒りに震えた。
……意味がわからない。
深呼吸して気持ちを落ち着かせてから、私はその画像を保存した。



