「わかってるよな? 今年は俺がサークルの団長だからな。勝手なことはさせねえぞ」
大学四年生になったばかりの四月。
私の友人の祐介は、イライラした様子で言った。
授業の空きコマの時間。大学のカフェテリアは、学生はまばらだ。
私、荒島咲良は興味なさそうにアイスティーをすすった。
祐介は、いわゆる腐れ縁の友人だ。
大学一年生の時から、学部・専攻・研究室がずっと同じ。ついでにサークルまで一緒。
気心が知れていて、何でも言いあえる仲だ。
「絶対に、一年男子に手を出すなよ」
「またその話?」
「ああ、そのせいでこれまでに三人辞めてるんだぞ。それで新入生キラーとか言われてさ」
うん、それは事実だ。時々呼び出してデートする関係を同時進行していたら、順番に辞めていった。まあ、向こうが勝手に辞めたんだけど。
ちなみに、私はその誰とも寝てない。もしヤりたいのが見え見えになってきた時は、私の方から距離を置いている。
私は男好きだが、そういうことはしない主義だ。一度でも許してしまうと、関係性がめんどくさくなるのが目に見えている。
「何でもいいから、今年は変なことするなよ」
「人の恋愛事情に口出ししないでほしいね」
「お前のそれは恋愛じゃねーだろ」
祐介は鼻息を荒くした。
「せめて同時進行するなよ」
「なんでよう。誰とも付き合ってないし、ただのお友達。それなら普通でしょ? あんただって彼女がいるくせに、こうやって私と話してさ。浮気なんじゃないですか?」
しかし、私の屁理屈は聞き流された。
「とにかく、今日の新歓コンパでは、お前のことを見張ってるからな」
「えー、じろじろ見ないでくださーい。キモーい」
祐介は私のことをキッと睨みつけた。おお、怖。
*
新歓コンパの前に、今日はサークルの活動日。
うちは折り紙サークル。活動内容は、めっちゃ緩い。
夕方にサークルで定期予約してある空き教室へ集まって、ダラダラ喋って、気が向いたら折り紙を折る。そんな感じ。出席も自由。
私は、今日が四年生になってから初めての出席。もちろん、活動後の新歓コンパが目的だ。
活動場所でお喋りしていると、二年女子と一緒に、見たことのない女子が部屋に入ってきた。
とても背が高くて、髪形はショートボブ。ちょっと猫背気味だけど、身長は170センチを優に超えていそうだ。きっと彼女も新入生だろう。
ハイウエストのパンツを履いているおかげか、足がとんでもなく長くすらりとしていて、まさにモデル体型。
私とは正反対だな。私は小さくため息をついた。
私は、悪く言えばちんちくりん。良く言えば小柄でキュート。
足は短く、水着姿はペンギンのようだと言われたこともある。失礼すぎない?
妬みのオーラを放っていたせいか、その長身女はこちらに振り向いて、うっかり私と目が合ってしまった。
その瞬間、胸がざわついた。
やべ、と思って、私は社交辞令の笑顔を向けた。
それに長身女も釣られたのか、笑顔になった。ぱあっと、花が飛ぶような笑顔。
……可愛いな。
私はハッとした。もしかしてライバルなのか?
サークル内カップルというやつは、同学年でできてしまうことが多い。
背が高い分、男子受けはあんまりしないだろうけど……。もしこいつが先に一年男子に手を出したら、面倒くさいことになる。絶対に先手を取らせない。
私は社交辞令の笑顔のまま、心の中で長身女を睨みつけた。
大学四年生になったばかりの四月。
私の友人の祐介は、イライラした様子で言った。
授業の空きコマの時間。大学のカフェテリアは、学生はまばらだ。
私、荒島咲良は興味なさそうにアイスティーをすすった。
祐介は、いわゆる腐れ縁の友人だ。
大学一年生の時から、学部・専攻・研究室がずっと同じ。ついでにサークルまで一緒。
気心が知れていて、何でも言いあえる仲だ。
「絶対に、一年男子に手を出すなよ」
「またその話?」
「ああ、そのせいでこれまでに三人辞めてるんだぞ。それで新入生キラーとか言われてさ」
うん、それは事実だ。時々呼び出してデートする関係を同時進行していたら、順番に辞めていった。まあ、向こうが勝手に辞めたんだけど。
ちなみに、私はその誰とも寝てない。もしヤりたいのが見え見えになってきた時は、私の方から距離を置いている。
私は男好きだが、そういうことはしない主義だ。一度でも許してしまうと、関係性がめんどくさくなるのが目に見えている。
「何でもいいから、今年は変なことするなよ」
「人の恋愛事情に口出ししないでほしいね」
「お前のそれは恋愛じゃねーだろ」
祐介は鼻息を荒くした。
「せめて同時進行するなよ」
「なんでよう。誰とも付き合ってないし、ただのお友達。それなら普通でしょ? あんただって彼女がいるくせに、こうやって私と話してさ。浮気なんじゃないですか?」
しかし、私の屁理屈は聞き流された。
「とにかく、今日の新歓コンパでは、お前のことを見張ってるからな」
「えー、じろじろ見ないでくださーい。キモーい」
祐介は私のことをキッと睨みつけた。おお、怖。
*
新歓コンパの前に、今日はサークルの活動日。
うちは折り紙サークル。活動内容は、めっちゃ緩い。
夕方にサークルで定期予約してある空き教室へ集まって、ダラダラ喋って、気が向いたら折り紙を折る。そんな感じ。出席も自由。
私は、今日が四年生になってから初めての出席。もちろん、活動後の新歓コンパが目的だ。
活動場所でお喋りしていると、二年女子と一緒に、見たことのない女子が部屋に入ってきた。
とても背が高くて、髪形はショートボブ。ちょっと猫背気味だけど、身長は170センチを優に超えていそうだ。きっと彼女も新入生だろう。
ハイウエストのパンツを履いているおかげか、足がとんでもなく長くすらりとしていて、まさにモデル体型。
私とは正反対だな。私は小さくため息をついた。
私は、悪く言えばちんちくりん。良く言えば小柄でキュート。
足は短く、水着姿はペンギンのようだと言われたこともある。失礼すぎない?
妬みのオーラを放っていたせいか、その長身女はこちらに振り向いて、うっかり私と目が合ってしまった。
その瞬間、胸がざわついた。
やべ、と思って、私は社交辞令の笑顔を向けた。
それに長身女も釣られたのか、笑顔になった。ぱあっと、花が飛ぶような笑顔。
……可愛いな。
私はハッとした。もしかしてライバルなのか?
サークル内カップルというやつは、同学年でできてしまうことが多い。
背が高い分、男子受けはあんまりしないだろうけど……。もしこいつが先に一年男子に手を出したら、面倒くさいことになる。絶対に先手を取らせない。
私は社交辞令の笑顔のまま、心の中で長身女を睨みつけた。



