8 ■ふ■しぎな■せかい
ゆめをみた
どこか、しってるようなゆめだった
あたしと葉月がけんかをしてる
ちょっとこわい
内容はよく聞こえない
声がぼやけて何も言えないけど
葉月は心配そうな、なんとも言えない顔で
綺麗な目になみだを浮かべている。
でもあのあたしは何か言葉を話してる。
自分の言葉ですらなんて言ってるかわからない
どうしようもなくて少しかんさつしてると
あたしが、葉月に向けて手を伸ばした
その瞬間あたしの中で警告がなりひびいた
あぶない。そう思い手を伸ばしたけど
手を伸ばしたら目の前が真っ暗になった
くらやみに引き戻された?
困惑していると
次の瞬間、目に光のしょうげきがくる
仲のいい3人とあそんだときの記憶
はづきとみこ、とゆの。
みんな
たのしそう
たのし、そう?
あれ?
みんな、顔がかなしそう
なんでなんでそんなにあたしを見る目が
かなしそうなの?
あれ、楽しかったの、あたしだけ?
ちとちゃん元気?ってゆのが話す。
ここではみんなの声が聞こえてくる。
でも、どうしたんだろう
そんなこと聞かなくても
あたしげんきなのに
でも、そこにいるあたしの声は聞こえない。
なんで、なんで
そこにいるあたしが元気そうにしているのに
みんなは、むりしてわらってる?
悲しかった
みんなあたしと遊ぶの楽しくないのかな
しばらくすると
何回も何回も目に光のしょうげにが来て
たのしい、しあわせだって場面と
みたくない、わすれたい場面がこうごにあらわれる
なんでそんな夢を見るの?
にげたさきでも いやなおもいしたくないよ
『ーせちゃん』
またばめんがかわる
次はどこだろう
まわりをみるとお母さんとお父さんがいる
ひさびさにお父さんのこと見たな
『 とせちゃん、おきて』
お母さん、ないてる
なんでだろう
お父さんお母さんをなぐさめてる
近くにたいりょうの......本?
ふせんがたくさんついてる、ちゃんとよんでるんだ
めずらしいね。お父さんがべんきょうしてるなんて
『千歳ちゃん、おきて 』
ぴかっと目にしょうげきが来た
またばめんが変わる
そう思い目をつぶったのに
場面はそのままだ。
あれかわらない
なんでだろう
『ちとせちゃん! おきて! 』
だれかがよんでる
「 はッ 」
がばっと 勢いよく布団から飛び起きる。
「 おはよう ちとせちゃん 」
あぁゆめからさめたのか。
またおかしい世界にいるのかとふあんになり
あたりをみまわす
あ、よかった
ここはいつもいるあたしのへやだ
「 ちとせちゃん?大丈夫?」
呼びかけている人の顔をみる。
知ってるようなしらない人が声をかけてくる
だれだろう。
また顔がぼやけている。
でも声は知ってる気がする
ねおきながらも頭をフルかいてんさせる
あたしの名前を知っていて
へやに入ってこれるじょせい、つまり
お母さん?
そうおもい口にだしてみる
「 おかあ、さん、?おはよう 」
「 よかった。寝てただけなのね 」
あたっていたようだ。
「 うん、ちょっと、懐かしいゆめを見てた気がするの」
もうすこしあの夢を見ていたかった
顔がはっきりと見える
お父さんやお母さんにあえたのに、さびしい
「 そうならよかったわ」
ぴきっ
そんな小さなおとが頭のどこかでひびいた気がする。
そのしゅんかん
『 この人はお母さん 』
そう自分で自分をなっとくさせたはずなのに
なんだかいわかんが生まれた。
「 今日■■ご飯はシ■ュー■■よ■■」
この人はほんとにお母さんなんだろうか。
輪郭がじわっと とけた言葉を信用していいのか
お母さんはこんな口調で話していただろうか
そんな派手な服、お母さんは持っていただろうか
「 千歳ちゃん?どうかしたのかしら? 」
あれ?とぎもんを持ったらもうおそい
確証が持てずぎもんや不安が胃から迫り上がってくる。
たしかに、まいあさ起こしに来るのは......
起こしに来るのは......
だれだ?
思い出せない
お母さんじゃなかった
だからじょせいじゃない。
女性ではなくて、
お父さんでもない、?
でも男の人だった気がする
、だれだっけ。
ただお母さんではない
それだけはおぼえてる。
じゃぁなんでここにいるんだ?
本当に、お母さん?
そうじゃないとしたら、この人は、、だれだ、?
だめだ
自分の頭ではしこうがどんどん下降していく。
もういっそきいてみよう
「 ねぇ、お母さん、だよね? 」
「 えぇそうよ? 」
今度はじーんと
その事実が頭にしみわたった
そして、かおが見えた。今度はぼやけても滲んでもない。
そう、そうだよ
お母さん
この人はお母さんだよ。
どうして疑問なんか持ったんだ。
自分のばかさに呆れながらも
疑ってしまった母親に対ししゃざいする
「 だよね ごめん 」
お母さんは安心したような、少し無理やり口角を上げているような、そんな顔で 大丈夫だよ
今日の夜ご飯はシチューだから楽しみにしていてと言葉を残しドアノブを回す
お母さんが下におりてから
自分の中でみてみぬふりをしていたことについて、
考えてみた。
あたしはさいきん、人のくべつがつかなくなってきた
最初は小さな物忘れだった
忘れん坊ぐらいで済むものだった。
なのに、だんだんと人の名前、顔、声、そして自分と
忘れたらいけないようなことまで忘れだした。
よくあるのは予定だったり、人の名前だったりする
だからどこどこいったよねって言われても行ったこと自体覚えてなかったりする。
いちばん厄介なのは、どれだけ仲のいい人でも、その人の存在自体が消えること。
その人というがいねんすら頭からはじき出されている
だから、すれ違い様にに
『 千歳じゃん おはよう 』
なんて言われても
だれだか分からない
名前を声に出そうとしても
きづいたらわからなくなっている
あたしのきおくの中にはいないじんぶつだからなのか
名前も、かおも、声すらきいたことがない
そう思えた。
ゆいいつ見えるのはふくそうと口ちょうと行どう
これらと記おくの中にあるじん物をてらし合わせるしかない
た分だれだれだろうと予そうを立てばくちを打つ。
ただ、その人物があたしのなかから消えていたら
誤魔化すしかだめなんだけどね
これの博打を毎回知らない他にんに対してくりかえすとそろそろこわくなってくる
もし忘れていることがばれたら?
なん回も外したら言い訳が聞かなくなる
そうなったとき、私はどうなるだろうか
私は何かの病きなのだろうか
否、確じつにびょう気だろう。
だけどそれを知らない人に言うゆう気もなく
あたしは今日も、
ただいつものよつに欠けた世かいを生きていく。
あるいていくしかないようだ
そう覚悟した。
あたしのなかからみんなの存在が消えた、
それを知った時からかくごしたはずなのに
みんなのことをわすれるのはいやだ
どうしたらいいのだろうかって
たくさん なやんで、なやんで、
こうどうしなきゃってがんばって
やっと見つけた あたしの病名。
おとうさんとおかあさんが喋ってたの
きいてないと思ったのかな
「 リビングの前通らなきゃ、あたしの部屋行けないんだから全部、聞こえてるよ 」
2人から聞いたびょうめいは......■■■■■■■
今日の夜、ちゃんと、
ちゃんと話を聞こう。
