欠落を編む


6 く■りか▶えす■にちじょ▶う

バキッ
見えないどこかで変な音がした
脳内に大きな溝ができた
それに気づいた時にはもう遅かったみたいだ

目の前が知らない場所だ
いや、正確には知っている
自分の家だからしっているはずなのに
ここはどこ?という疑念が拭いきれない
塞いでも塞いでも垂れてくる、雨水のよう
怖くなりその場から足が動かない
地面から黒い手が這い上がってきて
両足を掴まれているようだ

呼吸が震える。
おかえりと言ってくれた■■■が焦った声を出す

「 大丈夫かい!? 」

知らない人に話しかけられる
怖い
知ってる気がするのに知らない

「 こっちへおいで、温かいご飯があるよ 」

そういい手を掴まれる
怖い
その一心で反抗してしまう。
知ってる、知らない
分からない

だって、顔がブラックホールで吸われたみたいに
虚空なんだ
顔が見えない
誰だ
あなたは誰

分からないから、信用できる人じゃないから
逃げなきゃ、

「 いや!離して あんたなんか知らないの 」

やめてくれと全力で伝え逃げなきゃ
頭が逃げろと言っている

でも足が、足元も真っ暗で、どろっとした何かに掴まれている。
落ち着かなきゃ
冷静になるために記憶を必死に漁る
あれ
あれ
あれ
疑問しか出てこない
今日は何をした?
誰と遊んだ?
■■月■こと、ゆ▶█と、は■■■■きと
あれ
文字が滲む
きっかりと見えない

どうしよう
ここがどこだか分からないのに
頭が追いつかないのに
記憶すら頼れないなら
あたしはどうしたらいいんだ
心配そうにはなしかけて来ているしらない人を
片隅に足元にある黒い沼から足を引きずり出し
自分の部屋にかけ出す
転びそうになったがそんなの構ってられない

自分の部屋に着いたら思い切りドアを開け
誰も入ってこないように かぎをしめる
後ろから同じように階段を駆け上がる音と
とびらを叩く音が聞こえるがそんなのは無視だ
とにかく逃げなくては

「 なにこれ なにこれ 」
「 全部知らないんだけど 」

恐怖 疑念 焦り 震え 不安
悪い感情を全て詰め込んだかのような気持ちが
波のように押し寄せてきた

パニックになりそうだ
分からない分からない
くもの糸ほどの希望にすがりたい
その思いで記憶を書き出す
なんでもいい。なんでもいいからと
頭の中にある記憶を閉まってるたなを手当り次第
開けまくる

『 新■期同じ■■クラスになるといいね 』

これじゃない

『 え、ち■■ちゃんホ■■トデーで■
す■■なひとか■ベーグル貰ったの?ベーグルの意■か、わかんないなぁ 』

『え■■てる?ベーグ■■って意味な■いらしいよ。でも個人的には■ー終■りのな■幸せと■■、永遠とかそれっ■■ない? 』

『 それは■■■■の主観でしょ 』

これでもない

『 クレーンゲ■■ム鬼ムズい
■■けどまぢこのアーム力弱す■■』

『 ■■■が下■■すぎるだけよ』

『は■!?
そ■な爆■するなら■■がやってみなさいよ! 』

これでもない


ないないない
ないないないない
つえる記憶が無い

焦りながらもたくさん引き出しを開けた
そして見つけた。

思い出した

『 不安になったら千歳のタンス、
上から三番目の引き出しを開けて
そこにある薬を飲んでみな。すこしは楽になるよ』

きいた、そんなこと聞いた
お父さんがそんなことをいってたきがする
今信じれるのはきおくの中にあるお父さんだけ
それを信じて
あたしの部屋にあるタンス、上から3番目の
引き出し、をあける。
そこには
『 千歳が安心できる飴。お水と一緒に飲むんだよ』
とお父さんの筆跡があった
お父さんだ、だいじょうぶ、お父さんなら信用できる。
へやに置いてある水と共に飴と称された
小さな白い丸いつぶを飲み込む

ただそこに突っ立っている。
3月だと、肌暖かくなると思っていたが
今日はなんだか寒い。
寒気に負けベッドにくるまる。
外から聞こえる声を無視して
しばらくすると眠くなってきたので
何も考えなくていい空間ににげるため
ねてしまおうと思う

起きたら、
起きたらきっと
もとのばしょに戻れるはず。